その山崎の「次」について。
まずは。2019年1月1日現在の状況をまとめると、次期統合幕僚長候補と言えるのはもちろん、3名だけだ。
山崎幸二(第27期)・陸上幕僚長 2017年8月着任
村川豊(第25期)・海上幕僚長 2016年12月着任
丸茂吉成(第27期)・航空幕僚長 2017年12月着任
以上の3名であり、河野の任期がさらに相当期間、延長される事態になるようなことにでもならない限り、この3名から次の統合幕僚長が選抜されることになるのは、確実な情勢である。
(画像提供:防衛省南スーダン日本派遣施設隊公式フェイスブック)
次に、ある意味において政治的なポジションでもある、統合幕僚長人事に関する慣例を見てみたい。
統合幕僚長は、近年の3自衛隊統合運用の機運の高まりもあり、従来のような名誉職では完全になくなりつつある。
特に、異例の長期政権となった河野の存在感の大きさは、裏を返せば、統幕長は「誰がやっても同じ」ではない事実を、積極的に内外に発信している政治的なメッセージと言ってもよいだろう。
その一方で、だからといって実力主義だけで選抜できるほど、陸海空各自衛隊への配慮が必要ではないポジション、というわけではない。
つまり、基本は実力主義ではあるが、ある程度持ち回りの要素を残しながら後任が選ばれる可能性が高いということだ。
そして2019年1月現在ではあるが、統合幕僚長の持ち回りには過去、以下のような運用がなされてきた。
1つ目は、
陸→陸、海→海、空→空
というような、連続した幕僚長の着任は過去に例がなく、目先の運用でもまず考えられない。
2つ目は、
陸→海→陸 あるいは 陸→空→陸
となることはあっても、
海→空→海 もしくは 空→海→空
という持ち回りになることは、1954年に始まった統合幕僚会議議長の時代から数えても、一度も存在しない。
というものである。
言い換えれば、陸上自衛隊優先の統合幕僚長人事がなされてきたと言っても良いだろう。
そもそも、将官の数も陸:海:空=2:1:1の組織運用がなされ、当然それに応じた組織と予算が割り当てられているのが自衛隊の全体像だ。
その意味では、統合幕僚長の人事もその組織のセオリーにかなっており、またこれからも大きく外すことは考えにくいというのが、常識的な予想ということになる。
そして2019年1月現在、統合幕僚長を務める河野までの直近の流れを見てみると
第28代 折木良一(第16期) 陸上幕僚長出身
第29代 岩崎茂(第19期) 航空幕僚長出身
第30代 河野克俊(第21期) 海上幕僚長出身
という状況だ。
つまり、陸→空→海ときているわけだが、これまでの人事の慣例を考えると、後任に海上幕僚長の村川が着任することは、まず考えられないだろう。
次に、航空幕僚長の丸茂が選ばれるとなると、空→海→空となり、3代連続して陸自が選抜されないという運用がなされ、このパターンでも、人事と組織のセオリーが大きく変わることになり、考えづらい。
つまり、第31代の統合幕僚長には、陸上幕僚長である山崎以外には考えられないであろう、ということだ。
そして、27期である山崎が統合幕僚長に着任するとなると、そのタイミングでは当然、25期である海上幕僚長の村川の退役と、セットになると思われる。
その村川は、2018年12月までとみられていた任期でも交代とならず、海上幕僚長としての職責は3年目に入った。
加えて、3度の人気延長が閣議決定された統合幕僚長である河野の任期は、2019年5月末までだ。
以上のような情勢を考えると、統合幕僚長と海上幕僚長の交代時期は、2019年3月に同時に行われることになるのではないだろうか。
そして、統合幕僚長には山崎が着任し、山崎の後任である陸上幕僚長には、陸上総隊司令官の住田和明(第28期)が着任。
村川の後任である海上幕僚長には、自衛艦隊司令官である山下万喜(第27期)が着任。
航空幕僚長である丸茂良成(第27期)は変わらず、ということになるだろうというのが、2019年1月1日の管理人の人事予想だ。
管理人にとって、憧れの最高幹部であった山之上哲郎(第27期)をなぎ倒し陸幕長に昇りつめた山崎は、ついに自衛隊のてっぺんまで取ってしまうであろう、という予測である。
2018年12月の将官人事を総覧した結果、その様になるものと予想している。
ではでは・・・最後になりましたが、ここまでお読み頂きました皆様、平成31年あけましておめでとうございます。
旧年中は、拙い記事にも関わらず本当に多くの人にお読み頂きまして、嬉しい一年でした。
本当にありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
平成31年、あるいは新元号元年の今年が、自衛隊と全ての自衛官、そして読者の皆様にとって飛躍の一年になり、良いお年となることを心からお祈り申し上げております。
今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第3師団公式Webサイト)
◆山崎幸二(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
58年3月 陸上自衛隊入隊(第27期)
58年10月 第8施設群(第27期)
平成
元年10月 第8施設群中隊長
2年8月 施設学校
4年8月 幹部学校学生
6年1月 3等陸佐
6年8月 施設学校
7年8月 陸上幕僚監部人事部補任課
9年7月 2等陸佐
9年8月 陸幕防衛部防衛課
13年3月 第8施設大隊長
14年1月 1等陸佐
14年8月 陸上幕僚監部人事部補任課
15年8月 陸上幕僚監部人事部補任課人事1班長
17年4月 中央資料隊付(米国防大留学)
18年8月 陸上自衛隊研究本部研究員
18年12月 陸上幕僚監部装備部装備計画課長
20年8月 第4施設団長 陸将補
22年6月 西部方面総監部幕僚副長
24年7月 陸上幕僚監部人事部長
26年8月 第9師団長 陸将
27年3月 統合幕僚副長
28年7月 北部方面総監
29年8月 陸上幕僚長 陸上幕僚長たる陸将
陸上幕僚長と統合幕僚長人事が出ましたね。管理人さんが敬愛する山之上陸将に勝った山崎陸将がついに自衛隊制服組トップにまで上り詰めることになりましたね。21期から27期の交代でかなり開きが出ましたね。
なんか政府では山崎陸将の評判が良くないと言う記事を見て、場合によっては同期の丸茂航空幕僚長の就任もありうるとありましたが、陸上からしばらく統幕長が出ていないのでローテーションを優先したのでしょうかね。
先日の防衛大学校卒業式後の任命宣誓式で、陸上要員は統合幕僚長から任命を受けたって思った人もいるんじゃないでしょうか。ちなみに山崎次期統幕長は平成最後なのか新元号最初の統幕長なのかどう呼べばいいのかな迷いますね。
はい、敬愛する山之上・元陸将と最後まで競った方ですから、統幕長着任は嬉しく思います!
山崎さん、安倍さんに嫌われてるんですか?
初耳ですが、何ででしょうねえ。
切れ者過ぎて・・・ってことなのでしょうか。
それこそ、海のマンキさんが最後の最後を昇れなかったように・・・。
山崎陸将の場合はイージスアショアと呼ばれる地上配備型迎撃ミサイルシステムを陸自が担当するかどうかを決める際に自ら決断を下さず他人に任せていたと言う記事がありました。安倍首相に嫌われていたかどうかまではわかりませんが。
山下海将の場合は切れ者で周りがついていくのがやっと言う記事があり、こっちがもしかしたら嫌われていた可能性がありますね。
マンキさん、間接的にですが部下の方が、
「頭が良すぎて何言ってるのか理解できない・・・」
とおっしゃっているという話を聞いたことがありました。
曹士とも気さくにお付き合いされる方で、とても魅力的な人であるとも聞いていましたので残念です。
(´・ω・`)
すくなくとも2年前まではマンキさんでほぼ決まりだったんですよね。
それが昨年頃から、雲行きが怪しくなってきたんです。
理由は、「切れすぎる…」ということなんですが、これは記者がかなりオブラートに包んだ書き方をしてくれています。
対面で会ってお話しできれば合点がいく話なのですが、こういうコメントでは書きにくい(苦笑)。
敢えて書くとこういうことです。
マンキさんは曹士には優しい、ナイスガイ。
でも幹部には、同じ幹部なので要求水準が高い。
高い要求をされた幹部は、ちょっとついてこられない。
高い要求をする。
これが今のご時世、なかなか大変だなぁ…と政治が判断したということのようです。
名無しの海の兵隊さんコメントありがとうございます!
やはり、曹士には優しいナイスガイなのですね。
その他のご説明も、とても合点がいくところです。
旧軍なら間違いなく、トップを極めた人だったのでしょうね・・・。
さっきYoutubeでテレビ山梨の自衛隊特集の動画を見つけ、山崎統合幕僚長の出身市町村もわかりました。南都留郡西桂町出身との事です。たぶん、山梨県民ならニュースとかでわかっていると思うし、山梨県の新聞とかを調べたら判ると思うので隠す必要はないと思っていますが、もし、引っかかるようでしたら削除お願いします。
ちなみに役職だと統合幕僚長となると西桂町長より偉くなるのかな。その動画には山崎幕僚長と同郷の隊員が匍匐前進を展示している場面がありました。
メディアで公開されていた情報であれば、良いと思います!
陸自北富士演習場のすぐ近くですね(●´ω`●)