湯浅悟郎(ゆあさ・ごろう)|第28期・陸上幕僚長

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その湯浅が陸上自衛隊に入隊したのは昭和59年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成15年1月、陸将補に昇ったのが21年7月、陸将に昇ったのが27年3月であったので、その全てが28期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世であった。

特に陸将については、通常1選抜は夏の将官人事で昇るのが通例であるところ、湯浅のみが28期で唯一人、3月に陸将に昇任している。

この経緯については、正直理由を承知をしていない。

(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式フェイスブック

原隊(初任地)は、2018年3月の陸自大改革で即応機動連隊へと改編された第42普通科連隊(北熊本)であり、同地で初級幹部として厳しい自衛官生活のスタートを切った。

その後、連隊長ポストを秋田に所在する第21普通科連隊長で、師団長ポストは第9師団長で上番。

中央(陸上幕僚監部)では、班長ポストを教育訓練部教育訓練計画課の企画班長で、課長ポストを人事部補任課長で、部長ポストを装備部長で着任している。

またスタッフや幕僚のポストでは、中部方面総監部幕僚副長、陸上幕僚副長と言った要職にも着任している他、平成23年8月には東京地方協力本部長の要職も任されている。

そして29年8月、西部方面総監に昇ると、その後職として第37代陸上幕僚長に上番。

この極めて難しい時期に、陸上自衛隊のトップとして、最高司令官である総理大臣の補佐に当たることになった。

西方の最前線だけでなく、強兵として知られる東北健児の指揮を執るなど、今の時代にふさわしい、幅広いキャリアと知見を持つ陸上幕僚長であると言ってよいだろう。

 

なお余談だが、東京地方協力本部長は全国で3つしか無い、数少ない将官ポストだ。

すなわち、東京地方協力本部、大阪地方協力本部、沖縄地方協力本部の3つだけが将官が着任するポストであり、なおかつこの3つは全て陸に割り当てられているポストでもある。

にも関わらず、不思議なこと東京地方協力本部長からは過去に一人も、陸上幕僚長に着任した幹部がいなかった。

その役割の重さを考えるとかなり不思議な事であったが、湯浅がその先例を初めて破り、東京地本長経験者から初となる陸幕長に昇った。

加えて言うと、第21普通科連隊長(秋田)経験者から陸幕長に昇ったものも、湯浅が初めてである。

そういった意味では、記録づくめの陸上幕僚長昇任となった、

 

では最後に、その湯浅と同期である、28期組の最高幹部について、改めて見ておきたい。

最後まで、湯浅と共に陸上幕僚長のイスを争った凄い男たちである。

2019年夏の将官人事で退役することは確実だが、だからこそそのような、人事のセオリーを知らない自衛隊ファンには、ぜひ下記の幹部にこそ注目して欲しいと願っている。

そして最後まで、応援して欲しいと心から希望している。

 

湯浅悟郎(第28期)・陸上幕僚長(2019年4月)

住田和明(第28期)・陸上総隊司令官(2018年8月)

田浦正人(第28期)・北部方面総監 (2017年8月)

岸川公彦(第28期)・中部方面総監 (2017年8月)

岩谷要(第28期)・教育訓練研究本部長(2017年8月)

※肩書はいずれも、2019年6月現在。

※( )は現職着任時期。

 

湯浅を除く4名は、全員が陸上幕僚長に着任してもおかしくはなかった、凄い幹部たちだ。

誰一人として、湯浅に劣っていたわけでもなく、また優れていたわけでもなく、ただ時の巡り合わせと、わずかばかりの運でトップに昇ること無く退役するだけである。

 

率直に言って、最後の最後でトップに昇ることなど些末なことだと言えば言い過ぎであろうか。

お叱りを受けても、敢えてこの4名をこそ私(管理人)は、湯浅よりも大きなエールを持って最後まで、その背中をお送りしたいと思っている。

だからこそ、退役前の最後の1ヶ月余りの間で、28期組の最後の更新をしようかと考えている。

ぜひ、湯浅を除く28期組の最後の将官たちの活躍に、最後まで注目してもらえれば幸いだ。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊第15旅団公式フェイスブック

◆湯浅悟郎(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 陸上自衛隊入隊(第28期)
60年3月 第42普通科連隊(北熊本)

平成
7年1月 3等陸佐
10年7月 2等陸佐
11年8月 陸上幕僚監部防衛部防衛課(檜町、市ヶ谷)
15年1月 幹部学校付 1等陸佐
15年8月 陸上幕僚監部人事部補任課(市ヶ谷)
16年8月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練計画課企画班長(市ヶ谷)
18年8月 第21普通科連隊長(秋田)
19年12月 陸上幕僚監部人事部補任課長(市ヶ谷)
21年7月 陸将補
21年12月 中部方面総監部幕僚副長(防衛)(伊丹)
23年8月 東京地方協力本部長(市ヶ谷)
25年8月 陸上幕僚監部装備部長(市ヶ谷)
27年3月 第9師団長(青森) 陸将
28年7月 陸上幕僚副長(市ヶ谷)
29年8月 西部方面総監(健軍)
31年4月 第37代陸上幕僚長(市ヶ谷) 陸上幕僚長たる陸将

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