その山内が陸上自衛隊に入隊したのは昭和60年3月。
1等陸佐に昇ったのが平成16年1月であったので、29期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
陸将補、陸将に昇ったのはそれぞれ、23年4月、29年3月であったので、こちらも29期組1選抜後期(1番手グループ)となるスピード出世であり、警務科出身としては非常に珍しいだろう、堂々の陸将昇任を果たした。
(画像提供:陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地公式Webサイト)
その山内の原隊(初任地)は、福岡県に所在する第19普通科連隊。
その後すぐに第103地区警務隊に転じると以降は警務隊本部付警務隊、第116地区警務隊長など警務の現場で要職を歴任し、陸将補であった平成25年12月には全国の警務隊のトップである警務隊長に着任している。
またその間、中央(陸上幕僚監部)では班長ポストを装備部装計課の企画班で、課長ポストを人事部募集・援護課で務めた。
そして後方支援系のポストでも、福岡に所在する第4後方支援連隊長に上番し、平成23年4月には陸将補に昇任して東部方面総監部の幕僚副長に着任。
以降、小平学校副校長や中部方面総監部幕僚長を経て、29年3月に陸将に昇任すると関東補給処長兼ねて霞ヶ浦駐屯地司令に、30年8月には補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令の重責を任され、今もそのポストで辣腕を振るう。
我が国の兵站の中枢を担う、29期のみならず陸上自衛隊を代表する最高幹部の一人と言って良いだろう。
では最後に、その山内と同期である29期組の人事の動向について見てみたい。
29期組の将官は、一部で既に勇退も始まっている年次であり、今まさに、我が国の平和と安全に最も重い責任を担っている世代だ。
そして2019年10月現在で、29期組で陸将に在るのは以下の最高幹部となっている。
高田克樹(第29期)・陸上総隊司令官(2016年7月)
上尾秀樹(第29期)・東北方面総監(2016年7月)
本松敬史(第29期)・西部方面総監(2016年7月)
納富 中(第29期)・防衛大学校幹事(2016年7月)
柴田昭市(第29期)・防衛装備庁長官官房装備官(2017年3月)
山内大輔(第29期)・陸上自衛隊補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令(2017年3月)
清田安志(第29期)・統合幕僚学校長(2017年8月)
岩村公史(第29期)・第9師団長(2018年8月)
※肩書はいずれも2019年10月現在。( )は陸将昇任時期。
以上のようになっており、あくまでも2019年10月現在での状況だが、高田・上尾・本松の3名が、29期組からの「陸上幕僚長候補」として、注目を集めていると言って良さそうだ。
その人事の動向も、あと半年もすれば、はっきりとしてくるのではないだろうか。
山内については、率直に言ってもはや、後方支援系のポストにある最高幹部として、現職以上に格上のポストはない。
そしてそのキャリアから考えて、方面総監などのポストに転じることも想定できない。
つまり行き着くところまで行き着くほど出世してしまったので、まず間違いなく、現職を最後に長かった自衛官生活に別れを告げ、制服を置くことになるのではないだろうか。
とても寂しいことだが、このイケメンの最高幹部を見ることができるのも、残り僅かという事になりそうだ・・・。
とは言えまだ、山内が現に担っている職責は極めて重く、その判断が日本と世界の平和に大きな影響を与える非常に重要なポストである事実には何も変わりはない。
その活躍はまだまだ要注目であり、これからもその動向を追い続け、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊霞ヶ浦駐屯地公式Webサイト)
◆山内大輔(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
60年3月 陸上自衛隊入隊(第29期)
61年3月 第19普通科連隊(福岡県春日市)
(時期不明)
第103地区警務隊(福岡県春日市)
警務隊本部付警務隊(東京都港区)
幹部学校(東京都新宿区)
陸上幕僚副長副官(東京都港区)
陸上幕僚監部防衛部(東京都港区)
陸上幕僚長副官(東京都新宿区)
第116地区警務隊長(広島県安芸郡)
平成
8年1月 3等陸佐
11年7月 2等陸佐
16年1月 1等陸佐
16年8月 幹部学校付(防衛研究所)
17年8月 陸上幕僚監部装備部装計課企画班長
19年8月 幹部学校教官
19年12月 第4後方支援連隊長
20年12月 陸上幕僚監部人事部募集・援護課長
23年4月 東部方面総監部幕僚副長 陸将補
24年7月 小平学校副校長
25年12月 警務隊長
27年8月 中部方面総監部幕僚長兼ねて伊丹駐屯地司令
29年3月 陸上自衛隊関東補給処長兼ねて霞ヶ浦駐屯地司令 陸将
30年8月 陸上自衛隊補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令
令和
2年8月 陸上自衛隊補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令・陸将として退役
かつて、警務隊で部下として勤務させていただきました。山内隊長は、人格円満で、統御力に優れ、『この指揮官なら命を捧げることができる』と思ったものです。
職務でもプライベートでも上司にも部下にも配意する思慮深い指揮官でした。
何より自分の部下を思いやり家族のように大切にする指揮官でした。
無事に大任を果たされ定年退職され、これまでのご労苦と部下思いの優しく温かいお人柄に深甚なる敬意と感謝を申し上げます。
ありがとうございました。
すみやんさまコメントありがとうございました!
もうお見かけした感じが、そういった大人物ですよね!
わかる気がします
^^