その生田目が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。
1等陸佐に昇ったのは、先述のように平成19年から国連日本政府代表部防衛駐在官に赴任しているためにこのタイミングであると思われるが、自衛隊の人事の記録で確認できない。
この辺りは、防衛駐在官を巡る昇任の特別なルールが有るようだが、実質的に33期1選抜(1番乗り)での1等陸佐昇任であったと考えてよいだろう。
(画像提供:内閣府PKO事務局公式Webサイト)
そしてその原隊(初任地)は、福島県(後に秋田)に所在する第11施設群。
この原隊にあるとき、早速最初の海外赴任を経験するが、それがモザンビーク国際平和協力隊であり、その第2次輸送調整中隊の空港班長を務めた。
その後、職種部隊では第11施設群中隊長、第9施設大隊長(八戸)、第11施設群長(福島)と、東北地方に張り付いて各レベルでの指揮官ポストを歴任。
海外では、先述のようにモザンビーク以降、イラク復興業務支援隊、国連日本政府代表部防衛駐在官と多くの要職を歴任し、直近では中央即応集団司令部付の立場で、南スーダン現地支援調整所長を務めた。
そのキャリアは、見ているだけでワクワクするほどに非常に充実しており、自衛官という職業の魅力を余すことなく体現する最高幹部である。
そしてそのようなキャリアを引き下げ、平成30年8月からは自衛隊兵庫地方協力本部長の要職に着任した。
ぜひ、兵庫県で自衛官を志す人がいれば、その本部長である生田目はこれほどまでに凄いキャリアを誇る本部長であることを、知ってほしい。
そして、日本だけでなく世界の平和のために働くにはどうすればいいか。
ぜひ、受験担当の自衛隊員さんに無理を言ってでも、
「生田目本部長に実際にお会いして、海外での活躍話を聞かせて欲しい!」
とお願いしてみてはどうだろうか。
きっと、普通の人生では絶対に経験できない、自衛官としての半生の凄い体験談を、余すことなく聞かせてくれることだろう。
では最後に、その生田目と同期である33期組の人事の動向について、ご紹介しておきたい。
第33期組は2014年に最初の陸将補が選抜され、2020年に最初の陸将が選抜される予定になっている年次だ。
そして2019年7月現在で、以下の幹部たちが陸将補の任にあたっている。
冨樫勇一(第33期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2014年8月)
山根寿一(第33期)・第13旅団長(2014年8月)
牛嶋築(第33期)・東北方面総監部幕僚長兼ねて仙台駐屯地司令(2014年8月)
末吉洋明(第33期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2014年8月)
廣惠次郎(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2015年3月)
児玉恭幸(第33期)・教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長(2015年8月)
梅田将(第33期相当)・警務隊長(2015年12月)
酒井秀典(第33期)・第1ヘリコプター団長兼ねて木更津駐屯地司令(2016年3月)
宮本久徳(第33期)・高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(2016年12月)
堀江祐一(第33期相当)・陸上自衛隊高等工科学校長兼ねて武山駐屯地司令(2017年3月)
楠見晋一(第33期)・中央情報隊長兼ねて陸上総隊司令部情報部長(2017年8月)
更谷光二(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年3月)
竹内綱太郎(第33期)・化学学校長(2018年12月)
豊田真(第33期)・第1施設団長(2018年12月)
高木勝也(第33期)・第1高射特科団長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年7月現在。( )内は陸将補昇任時期。
以上のような状況になっており、まずは冨樫、山根、牛島、末吉の4名が中心になって、33期組の最高幹部人事は進んでいくことになるだろう。
生田目については、これほどまでに充実した海外経験を誇る、施設科の幹部だ。
我が国の国際貢献の現場で、その知見はこれからも必ず必要となることから、近い将来に陸将補に昇任した上で、国際貢献の要職でますます重い責任を担っていくことになるだろう。
いろいろな意味で、非常にレアでその活躍が楽しみな自衛官の一人だ。
今後ともその動向には注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:内閣府PKO事務局公式Webサイト)
◆生田目徹(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
元年3月 陸上自衛隊入隊(第33期)
元年 月 第11施設群小隊長(福島・秋田)
5年11月 モザンビーク国際平和協力隊第2次輸送調整中隊空港班長
9年 月 第11施設群中隊長(福島)
年 月 陸上自衛隊幹部学校
年 月 陸上自衛隊施設学校研究部
年 月 陸上幕僚監部人事計画課
16年 月 イラク復興業務支援隊対外調整(案件形成)担当
17年 月 第9施設大隊長(八戸)
19年 月 国連日本政府代表部防衛駐在官(ニューヨーク)
23年 月 統合幕僚監部運用部運用第2課国際地域調整官
24年1月 中央即応集団司令部付兼南スーダン現地支援調整所長
24年12月 統合幕僚監部運用部運用第2課国際地域調整官
25年8月 第11施設群長(福島)
27年3月 陸上自衛隊研究本部研究開発企画官
年 月 西部方面総監部総務部長
30年8月 自衛隊兵庫地方協力本部長
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