その松浦が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。
原隊(初任地)は大阪府八尾市に所在する中部方面ヘリコプター隊の第2飛行隊であり、政経中枢師団を守る空の精鋭として、その初級幹部としての知見を積み上げた。
(画像提供:陸上自衛隊公式Webサイト 職種紹介)
その後、平成17年1月からは第3次となるイラク復興支援隊の一員として、戦後間もない非常に治安状況の悪いイラクに赴任。
なおイラク復興支援隊は、同時期に活動していたイラク復興支援群が実際のインフラ整備や建物の建築などを行っていたのに対し、任務実施の調整を担当していた部隊となる。
すなわち、イラク政府や現地指導者、それに日本の外務省とも情報をすり合わせながら、自衛隊をどの地域に展開し、どのような任務に従事させるのか。
その調整とプランニングを行っていた部隊だが、あるいは松浦はその一員として、航空要員の観点から時に作戦地域を俯瞰し、この重要な任務に携わっていたと思われる。
更に帰国後は、中央(陸上幕僚監部)で装備部航空機課や運用支援・情報部運用支援課で要職を歴任。
職種部隊では、やはりこちらも国防の最前線である西部方面隊の西部方面ヘリコプター隊第1飛行隊長を務め、また空中機動旅団として知られる第12旅団の第12ヘリコプター隊副隊長などを歴任。
航空科にある幹部として非常に名誉なポストを多くやり遂げ、そして平成29年8月から、第8飛行隊長に着任している。
”鎮西機動師団”たる第8師団を支える、非常に重要なキーマンの一人である。
では最後に、その松浦と同期である36期組の動向について、簡単に見ておきたい。
36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして、2018年9月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。
松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)
德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)
堺一夫(第36期)・西部方面総監部幕僚副長(2017年8月)
藤岡史生(第36期)・陸上自衛隊幹部候補生学校長兼ねて前川原駐屯地司令(2017年8月)
若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)
南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)
大野真(第36期)・中央会計隊長(2018年8月)
※肩書は全て2019年9月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2019年夏の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。
以上のような状況になっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の中で頭一つ抜けた形になっている。
陸上自衛隊では、1選抜で将補に選ばれることはそのまま、同期の陸幕長候補として名乗りを上げることにイコールという意味を持つ。
そのため、2023年の36期1選抜陸将人事も、この4名を中心に展開されることになるのではないだろうか。
松浦については、あるいは航空科の現場で生き、活躍することを選んだ幹部のキャリアのように思われる。
そのため今後も、西方(西部方面隊)を始めとした各地の職種部隊で、非常に重要なポストを歴任していくことになるのではないだろうか。
国防の最前線で空の精鋭を率いる松浦の活躍からは、今後も目を離せそうにない。
その動向には特に注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊公式Webサイト 職種紹介)
◆松浦高裕(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
4年10月 中部方面ヘリコプター隊第2飛行隊(八尾)
12年8月 中部方面総監部防衛部防衛課(伊丹)
15年3月 航空学校付(明野)
16年3月 航空学校第1教育部(明野)
17年1月 イラク復興業務支援隊
17年7月 航空学校第1教育部(明野)
17年12月 陸上幕僚監部装備部航空機課(市ヶ谷)
19年3月 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援課(市ヶ谷)
21年3月 航空学校第1教育部(明野)
21年12月 西部方面ヘリコプター隊第1飛行隊長(目達原)
24年3月 中部方面総監部防衛部防衛課(伊丹)
26年3月 航空学校研究部(明野)
28年3月 第12ヘリコプター隊副隊長(相馬原)
29年8月 第8飛行隊長
表記の矛盾について。おそらく昭和63年3月は防衛大学校(36期)の誤りではないでしょうか?
そうすると辻褄が合います。憶測で申し訳ありません。
【追記】平成4年3月の幹候校は前川原ですね。
久留米は通りを挟んだ全く別の駐屯地になります。同じ久留米市に所在しておりますが。
あ、なるほど。
そうかも知れませんね、それで間違いなさそうです!
あと、久留米の方にもツッコミ入れておきました。
いつもありがとうございます!