佐々木裕治(ささき・ゆうじ)|第33期・東北方面混成団副団長

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その佐々木が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。

宮城県の多賀城駐屯地に所在する第22普通科連隊で、初級幹部として自衛官人生のスタートを切る。

そして先述のように、平成26年3月からは、第10普通科連隊長兼ねて滝川駐屯地司令に着任し、北海道の精鋭を束ねた。


(画像提供:小島肇・元2等陸佐

その第10普通科連隊は北海道滝川市に所在するが、滝川市は札幌から北東方向に直線距離でざっと100kmほどは離れているだろうか。

国道40号線を大動脈として、北海道の西岸に所在する留萌駐屯地と、内陸の守りの要である旭川駐屯地の中間地点に位置している。

なお上記画像の2枚目、佐々木連隊長(当時)と名刺交換をするのが、小島肇(第19期)・元2等陸佐だ。

小島元2佐は、道内で副連隊長などの要職を務められ、人望もとても厚い。

そのため退役後も、このように現役の高級幹部と距離が近く、とても羨ましい・・・。

 

その、第10普通科連隊と滝川駐屯地について少し触れておきたい。

滝川駐屯地はその立地から、冷戦時代から今に至るも、ソ連(ロシア)が北海道侵攻を始めた際には、最前線となる可能性が高い第3普通科連隊(足寄)や、第26普通科連隊(留萌)に直ちに駆けつけ、その初期戦闘を担う役割が期待されている。

また、北海道の政治・経済の中心である札幌が攻撃を受けた際にも、直ちに増援に駆けつけられる位置に所在することから、その存在意義は極めて大きい。

そのようなこともあり、第10普通科連隊は2019年3月に、機動力を重視した諸職種混合の即応機動連隊に改編され、機動戦闘集団として新たなスタートを切った。

我が国の危機に際して、北海道内はもちろん西方(西部方面隊)にでも直ちに駆けつける、初期戦闘の基幹となる部隊である。

そのような誇りある精鋭の、改変直前の困難な移行作業を任されていたのが佐々木ということである。

現職だけでなく、そのキャリアと併せて佐々木にかかる陸自内外の期待は、極めて大きい。

 

では最後に、その佐々木と同期である33期組の動向を簡単にご紹介しておきたい。

第33期組は2014年に最初の陸将補が選抜され、2020年に最初の陸将が選抜される予定になっている年次だ。

そして2019年9月現在で、以下の幹部たちが陸将補の任にあたっている。

 

冨樫勇一(第33期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2014年8月)

山根寿一(第33期)・第13旅団長(2014年8月)

牛嶋築(第33期)・東北方面総監部幕僚長兼ねて仙台駐屯地司令(2014年8月)

末吉洋明(第33期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2014年8月)

廣惠次郎(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2015年3月)

児玉恭幸(第33期)・教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長(2015年8月)

梅田将(第33期相当)・警務隊長(2015年12月)

酒井秀典(第33期)・第1ヘリコプター団長兼ねて木更津駐屯地司令(2016年3月)

宮本久徳(第33期)・高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(2016年12月)

堀江祐一(第33期相当)・陸上自衛隊高等工科学校長兼ねて武山駐屯地司令(2017年3月)

楠見晋一(第33期)・中央情報隊長兼ねて陸上総隊司令部情報部長(2017年8月)

更谷光二(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年3月)

竹内綱太郎(第33期)・化学学校長(2018年12月)

豊田真(第33期)・第1施設団長(2018年12月)

高木勝也(第33期)・第1高射特科団長(2019年4月)

※肩書はいずれも2019年9月現在。( )内は陸将補昇任時期。

 

以上のような状況になっており、まずは冨樫、山根、牛島、末吉の4名が中心になって、33期組の最高幹部人事は進んでいくことになるだろう。

 

佐々木については、人や教育を扱い、また組織運営を円滑にするポストで成果を挙げてきた幹部だ。

あるいは今後、より教育系に特化した要職に転じ、さらに力を発揮してくれるのではないだろうか。

 

いずれにせよ、2020年代前半にかけて我が国の平和と安全を守る要職を担っていくことは確実な幹部である。

その活躍には注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:小島肇・元2等陸佐

◆佐々木裕治(陸上自衛隊) 主要経歴

元年3月 陸上自衛隊入隊(第33期)
元年9月 第22普通科連隊(多賀城)
9年8月 防衛大学校訓練指導教官(横須賀)
11年8月 幹部学校指揮幕僚課程(目黒)
13年8月 第12普通科連隊第3中隊長(国分)
15年8月 第6師団司令部第3部訓練班長(神町)
17年8月 中央即応集団国際活動教育隊新編準備室長
20年3月 統合幕僚監部総務部人事教育課教育班(新宿)
22年3月 東北方面総監部防衛部総括班長(仙台)
24年3月 陸上幕僚監部運用支援課航空支援集団司令部陸上連絡官(府中)
26年3月 第10普通科連隊長兼ねて滝川駐屯地司令
28年3月 東北方面指揮所訓練支援隊長
30年3月 東北方面混成団副団長

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