その小出が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。
防衛省の人事の記録で確認できないが、22年6月に防衛駐在官としてエジプトに渡っているので、このタイミングで1等陸佐に昇ったと思われる。
原隊(初任地)は日本原に所在する第13戦車大隊であり、同地で初級幹部として、厳しい自衛官生活のスタートを切った。
(画像提供:防衛省統合幕僚監部公式Webサイト)
(画像提供:第11普通科連隊公式Webサイト)
その後、職種部隊では、駒門の第1戦車大隊を経て、中隊長ポストを原隊と同じ日本原の第13戦車中隊で務めるが、以降はしばらく機甲科の現場を離れる。
その一方で、陸自において情報が職種科される平成22年(2010年)までは、他の職種にある幹部が情報職種を掛け持ちで異動し任務にあたることがよく見られた。
この状況は当面も続くと思われるが、小出も例外ではなく、機甲科の指揮を執る一方で、平成25年12月からは情報処理隊長にも上番している。
その間、スタッフや幕僚のポジションでは、富士学校機甲科部、統幕運用部運用第1課、研究本部研究員、情報本部分析1課長、統幕運用部運用第2課国際地域調整官などの要職を歴任。
ちなみに調整官に在った時には、インドネシア・スラウェシ島で発生した大地震の緊急援助隊を現地で調整する指揮官として、国際貢献の部隊でも大いに活躍した。
なお小出はこれに先立つ平成17年1月から、第3次イラク復興業務支援隊の要員として半年間現地に渡っている経験も持つので、防衛駐在官の任務とも併せて非常に国際舞台での活躍が顕著な幹部である。
そしてこれらの実績を積み上げ、令和元年8月に第11普通科連隊長に上番し、我が国で最大・最精鋭の普通科部隊を指揮している。
いろいろな意味で、陸自を代表する幹部の一人であると言ってよいだろう。
では最後に、その小出と同期である36期組の人事の動向について、簡単に見ておきたい。
36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして、2019年12月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。
松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)
德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)
堺一夫(第36期)・西部方面総監部幕僚副長(2017年8月)
藤岡史生(第36期)・陸上自衛隊幹部候補生学校長兼ねて前川原駐屯地司令(2017年8月)
若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)
南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)
大野真(第36期)・中央会計隊長(2018年8月)
※肩書は全て2019年12月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2019年夏の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。
以上のような状況になっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の中で頭一つ抜けた形になっている。
恐らく今後の陸将人事も、この4名を中心に選抜が進められていくことになるのではないだろうか。
小出については、これほどまでに国際舞台での活躍が顕著であり、また我が国が誇る最精鋭部隊・第11普通科連隊を任されるほどの幹部だ。
情報科の幹部としても活躍が目立ち、ぶっちゃけどのような要職に就いても全く驚かない。
統幕でも陸上総隊でも各地の情報責任者としても、あらゆるポジションに就く可能性があり、ますます活躍の場を広げていくことになるのではないだろうか。
いずれにせよ、第36期組は2020年代後半にかけて、我が国と世界の平和を担う中心になる世代である。
その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:在インドネシア日本国大使館公式Webサイト)
◆小出昌典(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
5年3月 第13戦車大隊(日本原)
8年3月 調査学校付(小平)
9年3月 防衛大学校付(武山)
11年3月 第1戦車大隊(駒門)
13年8月 第47期指揮幕僚課程(目黒)
15年8月 富士学校機甲科部(富士)
16年3月 第13戦車中隊長(日本原)
17年1月 イラク復興業務支援隊(イラク)
17年7月 第13戦車中隊長(日本原)
17年8月 統合幕僚会議事務局第3幕僚室(市ヶ谷)
18年3月 統合幕僚監部運用部運用第1課(市ヶ谷)
21年3月 幹部学校(目黒)
22年6月 外務事務官(エジプト)
25年8月 研本研究員(目黒)
25年12月 情報処理隊長(市ヶ谷)
28年8月 情報本部分析1課長(市ヶ谷)
30年8月 統合幕僚監部運用部運用第2課国際地域調整官(市ヶ谷)
令和
元年8月 第11普通科連隊長
コメントを残す