夏井隆(なつい・たかし)|第36期・神奈川地方協力本部長

その夏井が海上自衛隊に入隊をしたのは平成4年3月。

1等海佐に昇ったのが24年1月であったので、2選抜の前期ということになる。

練習航海を終え、最初に配属になったのは護衛艦ゆうぎりであり、同艦で海上自衛官生活のスタートを本格的に切っている。

(画像提供:自衛隊神奈川地方協力本部公式Webサイト

その後、護衛艦やまゆき、さわゆき、むらくもでの勤務を経て、平成13年8月には護衛艦じんつうの砲雷長兼副長に就き、15年3月には先にご紹介したミサイル艇3号艇の艇長に着任する。

さらに練習艦隊司令部訓練幕僚、護衛艦はたかぜ砲雷長兼務副長を経て、22年3月には第1ミサイル艇隊司令、23年8月には練習艦しらゆきの艦長に着任するなど、操艦技術に優れていることに疑いようのないポストを歴任。

その後も第4護衛隊群司令部首席幕僚を経て、我が国が誇る最強の海上戦力の一つである護衛艦みょうこう艦長に上番するなど、艦乗りとして名誉あるキャリアを重ねた。

またその間、平成24年8月からはハワイに所在するアジア太平洋安全保障センターへの留学を、25年1月からは海上自衛官として2人目となるインド国防大学への留学を経験するなど、艦乗りの経験を生かした国際交流の現場でも活躍。

平成28年8月からは、数少ない陸(おか)勤務の一つである海上幕僚監部補任課の服務室長を務めるなど、中央での存在感も発揮した。

そして29年12月から務めた第6護衛隊司令のポストの後職として、令和元年11月から神奈川地方協力本部長に上番し次世代を担う自衛官の採用、地域との連携といった任務に重い責任を担っている。

海上自衛隊を代表するような艦乗りであり、誰もが憧れるような海上自衛官の一人であると言ってよいだろう。

では最後に、その夏井と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。

36期組は、2017年夏の将官人事で最初の海将補が選抜された年次だ。

そして2020年4月現在で海将補の任にある幹部は、以下の通りになっている。

竹中信行(第36期相当)・潜水艦隊司令部幕僚長(2017年8月)

金嶋浩司(第36期)・第5航空群司令(2017年12月)

金刺基幸(第36期)・統合幕僚監部首席後方補給官(2018年3月)

星直也(第36期)・防衛装備庁長官官房艦船設計官(2018年8月)

石巻義康(第36期)・第3護衛隊群司令(2018年12月)

※肩書はいずれも2020年4月現在。( )内は海将補昇任時期。

※2019年夏の将官人事以降に昇任した将補については期別未確認のため、追記する可能性あり。

以上のような状況になっており、まずはこの5人が36期組の1選抜・2選抜の将官として、今後もさらに要職を歴任していくことになるのではないだろうか。

夏井については、いわゆる「艦方(ふなかた)」とも言うべき、海上戦力を率いることに長けた幹部らしい、非常に充実したキャリアを誇る幹部だ。

これは、海上自衛官としてある意味でもっとも名誉ある生き方の一つであり、それ故に将官への昇任とは無縁のキャリアであると思われる。

誤解を恐れずに言うと、海上自衛官は3自衛隊の中でもっとも、現場で生きることを好み、出世(昇任)を望む幹部が少ないような印象があるが、夏井もまさにそのような幹部自衛官のひとりではないだろうか。

ぜひ、この海の男の活躍には今後も注目し、そして応援して欲しいと願っている。

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:自衛隊神奈川地方協力本部公式Webサイト

◆夏井隆(海上自衛隊) 主要経歴

平成
4年3月 海上自衛隊入隊(第36期)
5年3月 練習艦隊(呉)
5年11月 護衛艦「ゆうぎり」(横須賀)
6年12月 護衛艦「やまゆき」(呉)
7年12月 護衛艦「さわゆき」(大湊)
9年3月 護衛艦「むらくも」(横須賀)
10年8月 防衛大学校指導教官(横須賀)
13年8月 護衛艦「じんつう」砲雷長兼務副長(舞鶴)
15年3月 ミサイル艇3号艇長(余市)
17年3月 海上幕僚監部防衛課(市ヶ谷)
19年1月 第3護衛隊(舞鶴)
19年11月 練習艦隊司令部訓練幕僚(呉)
20年11月 護衛艦「はたかぜ」砲雷長兼務副長(横須賀)
22年3月 第1ミサイル艇隊司令(余市)
23年8月 練習艦「しらゆき」艦長(呉)
24年1月 1等海佐
24年8月 アジア太平洋安全保障センター留学(ハワイ)
25年1月 インド国防大学留学(インド)
26年1月 第4護衛隊群司令部首席幕僚(呉)
27年3月 護衛艦「みょうこう」艦長(舞鶴)
28年8月 海上幕僚監部補任課服務室長(市ヶ谷)
29年12月 第6護衛隊司令(横須賀)

令和
元年11月 神奈川地方協力本部長(横浜)

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