坂本雄一(さかもと・ゆういち)|第35期・陸上自衛隊

Pocket

坂本雄一は昭和42年9月生まれ、北海道旭川市出身の陸上自衛官。

防衛大学校第35期の卒業で幹候72期、出身職種は普通科だ。

 

平成29年3月(2017年3月) 中部方面総監部幕僚副長・陸将補

前職は陸上幕僚監部広報室長であった。

 

2018年4月現在、中部方面総監部幕僚副長を務める坂本だ。

なお坂本の画像についてだが、連隊長職を務めた第3普通科連隊が2016年にWebサイトをリニューアルしてしまい過去の画像が全滅。

陸幕広報室長時代の画像も見当たらず、結局、中部方面隊の機関紙「飛鳥」の片隅、平成29年度中部方面隊優秀隊員表彰式の集合写真の中にやっと、坂本が写っているのを発見できた。

上記画像の下段右端が坂本だ。

今のところこれ以外に、防衛省の公式Webサイトでは坂本の画像を見つけることができず、当面のところこれでご容赦頂きたい。

 

さて本題だが、35期組の「若手将補」である坂本は北海道旭川市の出身。

防衛大学校卒業後、その旭川に所在する第9普通科連隊から自衛官生活をスタートさせ、平成7年には我が国普通科連隊の精鋭中の精鋭・第3普通科連隊で初級幹部時代を過ごす。

さらに平成25年から務めた連隊長職も第3普通科連隊。

この3普連が所在する名寄駐屯地は北海道北中部の内陸に位置し、我が国の1線級部隊としては最北端に位置する部隊ということになる。

その位置が意味するものとは、すなわち対ソ連(対ロシア)戦闘を想定した時の最前線ということ。

そのため、冷戦期においてはその装備が充実していたことはもちろん、厳しい訓練で鍛え上げられた精強な曹士たちが多いことで知られ、また連隊長職は伝統的にエースのポジションとされてきた。

このようなこともあり、第3普通科連隊長は出世の登竜門と位置づけられ、過去には

第9代 中村龍平(陸士49期)

第13代 高品武彦(東京帝大)

第32代 火箱芳文(第18期)

と3名もの陸上幕僚長を排出しているポストになっているが、陸上幕僚長は2018年4月現在で第36代を務める山崎幸二(第27期)までで36名。

これに対し連隊長職は、普通科だけでも廃止されたものを含めて53を数え(教導連隊含む)る。

36人中3人もの陸上幕僚長が、この第3普通科連隊長経験者から選抜されていることからも、このポストがどれほど重要なものであったか。

またそのポストを任された者がどれほど期待された幹部であったのか、お分かり頂けるのではないだろうか。

坂本はそんな栄誉ある第3普通科連隊で連隊長職を務め、そして陸幕広報室長を経て、中部方面総監部幕僚副長着任と同時に陸将補に昇任した。

 

さて次に、その坂本と坂本を含む35期組の動向についてだ。

なお上記写真は、坂本とは直接関係ない。

坂本の画像を探して中部方面隊の機関紙を漁っていたら、現陸上幕僚長の山崎幸二(第27期)、第4施設団長の陸将補・小谷琢磨(第32期)、それに在日米軍第3海兵機動展開部隊司令官のニコルソン中将が、仲良く揃って渡河ボートを漕いでいる写真を見つけた。

とても珍しく貴重な一枚だったが、他に貼れるところも思いつかなかったので、とりあえずここで貼らして頂いた。

 

本題に戻る。

坂本と35期の動向についてだ。

坂本が陸上自衛隊に入隊したのは平成3年3月。

1等陸佐に昇ったのが22年1月なので35期1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。

陸将補に昇ったのは29年3月だったので、こちらは同期1選抜から遅れること約8ヶ月の2選抜ということになる。

陸上自衛隊では1選抜で将官に昇ることは、近い将来の陸上幕僚長候補に残ったことを直接意味する。

そして2選抜はそれに次ぐ超がつくスーパーエリートだ。

西方の重要性が相対的に増していくなかで、北部方面隊が最前線であるという意味合いが薄れてきているとは言われるものの、やはり坂本も、第3普通科連隊長出身として期待の幹部ということである。

 

なお2018年4月現在、35期から陸将補に選ばれているものは以下の幹部だ。

 

井戸川一友(第35期)・北部方面総監部幕僚副長(2016年7月)

上田和幹(第35期)・需品学校長兼ねて松戸駐屯地司令(2016年7月)

遠藤充(第35期)・第3施設団長(2016年7月)

戒田重雄(第35期)・第1空挺団長兼ねて習志野駐屯地司令(2016年7月)

坂本雄一(第35期)・中部方面総監部幕僚副長(2017年3月)

※肩書は全て2018年4月現在。( )は陸将補昇任時期。

※最新の昇任将補の人事では期別未確認のため、追記する可能性あり。

 

35期は2016年夏の将官人事で最初の陸将補が選ばれたばかりの年次なので、まだ数は少ない。

逆に言うと、この5名が35期の人事の中心となっていくだろう。

坂本を含めその活躍には注目し、そして応援していきたい。

 

本記事は当初2017年9月16日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年4月26日に整理し、改めて公開した。

 

◆坂本雄一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
3年3月 陸上自衛隊入隊(第35期)
4年3月 第9普通科連隊(旭川)
7年3月 第3普通科連隊(名寄)
年 月 外務省防衛政策局
14年1月 3等陸佐
17年7月 2等陸佐
22年1月 陸上幕僚監部防衛課 1等陸佐
22年3月 陸上自衛隊研究本部研究員
22年8月 幹部学校付
23年7月 陸上自衛隊研究本部研究員
23年12月 統合幕僚監部防衛課防衛班長
25年12月 第3普通科連隊長(名寄)
27年8月 陸上幕僚監部広報室長
29年3月 中部方面総監部幕僚副長 陸将補

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 中部方面隊公式Webサイト(機関紙飛鳥103号、104号)

http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/main/03_asuka/asuka_01.html

防衛省陸上自衛隊 第3普通科連隊公式Webサイト(訓練画像)

http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/unit/butai/3i/activity/Activity.html

Pocket

5件のコメント

本当に今は、坂本師団長以下、10名の皆様の無事を心から確信しお祈りしています。
コメント頂きましてありがとうございました。

管理人様へ
こんばんは、
はじめまして、ポンと申します。
陸自ヘリのニュースを知ってから、
ずっと毎日、行方不明の隊員さん達の無事を祈っておりました。
坂本さんの事を知り、坂本雄一師団長のお人柄などを調べているうちに
こちらのページにたどり着きました。
まだ、就任されてから何日も経っていないのに残念です。
ご家族の事を思うと辛いです。
よろしければ、北海道新聞の記事もご覧になって観てください。

北海道新聞デジタル
「人望厚かった」旭川出身・坂本前師団長死亡 同級生らから悼む声 陸自ヘリ事故 会員限定記事 2023年4月21日 22:39(4月21日 23:15更新)

ボンさま、コメント頂き感謝申し上げます。
こちら拝読させていただきますね。
また入れ違いで恐縮ですが、ちょうど今回の事故について管理人コラムを更新しました。
宜しければ、御覧ください。
https://japansdf.com/archives/16040

momono へ返信するコメントをキャンセル