【退役】道満誠一(どうまん・せいいち)|第26期・海上自衛隊

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道満誠一は昭和35年2月生まれ、岡山県出身の海上自衛官。

防衛大学校第26期(管理学)の卒業で、幹候は33期だ。

 

平成30年3月(2018年3月) 横須賀地方総監・海将のポストを最後に退役が決まった。

前職は潜水艦隊司令官であった。

防衛大学校卒業以来、長く潜水艦乗りを務めてきた海上自衛隊の最精鋭、サブマリナーとして駆け抜けた自衛官生活であった。

 

ついに、26期組最後の海将であった道満の退役が決まってしまった。

退役の日は2018年3月27日。

これで海上自衛隊は、海上幕僚長である村川豊(第25期)を除き、全将士が27期以降ということになる。

(なお、統合幕僚長である河野克俊(第21期)はもはやゾンビである・・・)

 

我が国が世界に誇る最精鋭・潜水艦部隊を指揮し続けた人生であり、文字通り海の底から睨みを利かし、日本の平和と安全に貢献し続けた男であった。

思えば道満が初めて艦を預かったのが、最後の奉職の地となったここ横須賀所属のゆきしお。

若き艦長として横須賀から幾度となく任務に出向したのが平成9年であり、1997年。

それから20年余りの時が流れ、横須賀地方総監という、海上自衛隊の中でもっとも重要なポストに昇り詰めた男が、ついに制服を置く。

 

きっと退役の日は、道満が長年に渡り我が国に果たした貢献を労るかのように、満開の桜が横須賀の地に咲き誇っていることだろう。

帽振れに見送られ岸壁を離れる道満の目には、きっとこれまでと違う感慨深い春の日の光景が広がっているはずだ。

 

本当に長い間、お疲れ様でした。

道満海将の第二の人生が、さらに意義深く充実したものとなりますように。

 

【以上、2018年3月22日追記。】

※以下は2017年10月22日までに記してきた記事であり、最新の情報を反映していない。

 

さて、その後職として直接海上幕僚長にジャンプアップすることも多い重職、横須賀地方総監の道満である。

これまでの慣例や海上自衛隊内での役職の序列、また役職の等級から考え、海上幕僚長に昇りつめるものにとって最後の通過点となる可能性があるのは、2017年10月現在、以下のポストと考えて良い。

・自衛艦隊司令官

・佐世保地方総監

・横須賀地方総監

・海上幕僚副長

これ以外に、海上自衛隊における航空集団の役割の増大、活躍の幅の広がりを考えると、1973年に第10代海上幕僚長に着任した鮫島博一(海兵66期)のように、航空集団司令官からの着任も考えられなくはないが、少なくとも次の海上幕僚長としては、なさそうな状況だ。

 

そして、これら4ポストの一角にある横須賀地方総監を務める道満だが、そのキャリアは極めて充実しており、海上自衛隊のスーパーエリートとして常にトップを走り続けてきた男である。

 

海上自衛隊への入隊は昭和57年3月。

1等海佐に昇ったのは平成13年1月なので、26期組1選抜(1番乗り)でのスピード出世を果たす。

海将補に昇ったは22年7月なので、ここで同期の最速から3年遅れたということにはなったが、その分、1等海佐での現場経験を非常に豊富に積み上げるキャリアパスとなっている。

そして海将に昇ったのが平成27年8月。

ここは、海将補5年での昇任であり、潜水艦隊司令官を経て横須賀地方総監に着任した。

 

横須賀地方隊は、自衛艦隊所属艦の1/3以上が所属する大所帯だ。

それら艦船の後方支援・補修を全て担当し、人員規模や仕事量も他の地方隊を大きく上回っており、その執行予算も非常に多額であって、まさに海上幕僚長に着任する前に経験するにふさわしいポストであると言えるだろう。

 

そのような要職に昇り詰めた道満。

涙滴型潜水艦が主力であった頃からのサブマリナーであり、ゆうしお型7番艦あきしおの副長、同じく9番艦であるゆきしおの艦長を務め、第1潜水隊司令を経て、潜水艦隊司令官を務めた。

 

我が国の安全保障を海の底から支える潜水艦乗りは、海上自衛官の中でももっとも精神的・肉体的にタフであり、なおかつ協調性や責任感にも優れた船乗りにしかなることができない苛烈な任務だ。

その任務をゆうしお型潜水艦の時代から優秀な成績でこなし、横須賀地方総監まで登りつめた道満は、まさに海上自衛隊を代表するシーマンシップの持ち主であると言えるだろう。

 

 

ここまでのポストに昇り詰めた道満だ。

当然のことながら、周囲も含め「次」があるのか。

すなわち海上幕僚長への着任があるのか、ということを気にしている者は多いが、そのあたりを少し見ていきたい。

 

2017年10月現在で海上幕僚長を務めるのは、村川豊(第25期)

その着任時期は2016年12月であり、通常で考えると、2018年12月までがその任期と考えられる。

この時に上記4ポストに補職されていて、なおかつそのポストでの職務期間が1年程度あれば、次期海上幕僚長に着任の可能性があると見て良いだろう。

そして2017年10月現在、4ポストにあるものは以下の通り。

 

山下万喜(第27期)・・・自衛艦隊司令官(2016年12月着任)

佐藤誠(第26期)・・・佐世保地方総監(2016年12月着任)

道満誠一(第26期)・・・横須賀地方総監(2016年12月着任)

山村浩(第28期)・・・海上幕僚副長(2016年12月着任)

 

このような状況になっており、定量的に見る限りでは、誰が村川の後を継ぎ、第34代海上幕僚長になってもサプライズではない状況であるといえる。

 

一方で、既に陸上自衛隊は27期の幕僚長、山崎幸二(第27期)が2017年8月に着任しており、なおかつ航空自衛隊も、2017年12月に幕僚長の交代が予想され、その際には後任に27期組が着任することが確実な情勢となっている。

つまり、海上自衛隊のみ世代交代が遅れているということになり、さらに2018年12月に26期組が着任すると、世代交代の遅れがさらに進むため、おそらく26期組の佐藤と道満の昇格は難しいと考えるべきだろう。

なおかつ、佐藤は1等海佐から海将補に昇るのに8年、道満が9年掛かっており、いずれも将官経験年数が短い。

つまり、現場指揮能力の高さを評価された最高幹部であって、海上幕僚長への昇格は想定されていなかったキャリアであると考えるべきだ。

 

28期の山村については、そのキャリアは極めて充実しており、海上幕僚長に昇格してもなんら不思議はないスーパーエリートだ。

しかしながら、25期の村川の次に28期の山村が3期飛ばしで幕僚長に着任すると、原則として26期~28期組の将官は早期退職勧奨ということになる。

さすがにポストに穴が空きすぎることが予想され、次の次の幕僚長には考えられるが、次の幕僚長とはならないのではないだろうか。

 

つまり山下のみが残ったことになるが、消去法ではない観点から山下を見ると、そのポストは海上幕僚長に着任する可能性が近年最も高い自衛艦隊司令官。

なおかつ、自衛艦隊司令官の前には、4ポストの一つである佐世保地方総監を務めている、ちょっと別格のスーパーエリートである。

このような情勢を考えると、村川の後を継ぎ第34代海上幕僚長に着任するのは、おそらく山下万喜という事になるのではないだろうか。

 

もしその場合には、道満については、佐世保地方総監の任期と予想される2018年12月で退役となる可能性が高い。

どんなスーパーエリートにも、退役の時が来てしまうのはとても寂しいことだが、恐らくそのような人事の流れになっていくのではないだろうか。

 

本記事は当初2017年7月4日に公開していたが、加筆修正が重なったので2017年10月22日に整理し、改めて公開した。

なお、ここから下の部分は2017年7月に公開した当時のものをそのまま残している。

 

その道満が横須賀地方総監を引き継いたことにより、勇退となったのは堂下哲郎(第26期)。

帽振れで別れを告げる堂下の後ろで控えるのは、堂下の令夫人だ。

道満と同じ防大26期で、一時期は海上幕僚長への就任が確実視されていた事もあったが、第33代海上幕僚長に村川豊が後方支援出身者として初めて、また海上幕僚副長からの抜擢も15年ぶりとなる形でサプライズ着任したことにより、勇退となった。

 

本人も驚いたであろうが世間でも、この人事は相当驚きを持って迎えられた。

離任式を終え、どこか寂しげに別れを告げる堂下の表情は、吹っ切れているようで、悲しげでもある。

まだまだ、国防のために身を尽くす覚悟であったのであろう。

気力も体力も充実していたに違いない。

非常に寂しい退役の一コマとなったが、そんな海の男がまた一人、海上自衛隊を去った。

 

◆道満誠一(海上自衛隊) 主要経歴

昭和
57年3月 防衛大学校卒業(第26期)

平成
5年1月 3等海佐
8年7月 2等海佐
8年8月 潜水艦「あきしお」副長(呉)
9年12月 潜水艦「ゆきしお」艦長(横須賀)
11年3月 海上幕僚監部補任課(東京)
13年1月 1等海佐
14年8月 海上幕僚監部教育課教育班長兼教材班長(東京)
16年8月 第1潜水隊司令(呉)
17年12月 海上幕僚監部調査(情報)課情報保全室長(東京)
20年12月 海上幕僚監部教育課長(東京)
22年7月 大湊地方総監部幕僚長(大湊) 海将補
24年7月 海上幕僚監部総務部長(東京)
26年3月 海上幕僚監部監察官(東京)
27年8月 潜水艦隊司令官(横須賀) 海将
28年12月 横須賀地方総監(横須賀)

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省海上自衛隊、横須賀地方隊Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/yokosuka/soukan/soukan.html

防衛省海上自衛隊、JMSDFニュースWebサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/msdf/formal/jmsdf_news/201612.html

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