その城殿が航空自衛隊に入隊したのは、昭和60年3月。
先述のように、F-15戦闘機のパイロットであるが、若手の時にはテストパイロットもこなし、F-2戦闘機の開発に携わった経歴も持つ。
(画像提供:航空自衛隊三沢基地公式Webサイト 広報誌みさわ444号)
そのパイロットとしての初任地は第6航空団。
その後、飛行開発実験団に転じテストパイロットとしての腕を磨くと、各地の航空団で戦闘機パイロットとして活躍。
中央では防衛部の防衛課長を務めるなど、非の打ち所のない経歴になっている。
また城殿は、1佐に昇ったのが平成16年1月。
さらに空将補、空将に昇ったのがそれぞれ22年7月、28年7月なので、その全ての昇任が29期組1選抜(1番乗り)のスピード出世であった。
ただでさえ、将官に昇る幹部の数が少ない航空自衛隊だ。
昇任することそのものが非常に難しい上に、その全てで1選抜で昇り続けている城殿は、あるいは現職の航空幕僚長、丸茂吉成(第27期)の後を継ぐ可能性も十分であり、その活躍にはさらに期待が高まっている。
さすがにこれだけの、充実したキャリアを誇る城殿のことである。
その全てが特筆するべきポストであり経歴だが、やはり目を引くのは、F-35Aの事業推進室長であろうか。
更に城殿は、それに先立ってF-X(次期主力戦闘機)を選定する責任者である、次期戦闘機企画室長も務めている。
いわば、我が国が今後30年、どのような防空体制で戦っていくことになるのか。
その選択を実質的に下した幹部であり、歴史にも名を残す非常に大きな仕事をした男であると言ってよいだろう。
それだけに、30年後の未来にはバッシングされているかも知れない。
あるいは、城殿はすごい男だったとレジェンドになっているかも知れない。
次期航空幕僚長候補にして、1選抜で出世の階段を駆け上がってきた城殿とは、そのような幹部である。
では最後に簡単に、その城殿と同期である29期組の人事の動向について、簡単に紹介しておきたい。
29期組は2016年に最初の空将が選抜された年次であり、将官に昇らなかった同期は2018年度、今まさに定年退官を迎えている世代である。
そのため、同期の航空幕僚長候補は既に出揃っており、その候補となる空将にあるものは、以下の通りだ。
城殿保(第29期)・北部航空方面隊司令官(2016年7月)
三谷直人(第29期)・補給本部長(2016年7月)
増子豊(第29期)・中部航空方面隊司令官(2016年12月)
長島純(第29期)・航空自衛隊幹部学校長(2016年12月)
井上浩秀(第29期相当)・航空開発実験集団司令官(2017年12月)
※肩書は2018年9月現在。( )内は空将昇任時期。
以上のようになっており、遅くとも2020年頃には、この中から航空幕僚長が選抜されることになるかも知れない。
いずれにせよ、この最高幹部たちはまさに今現在、我が国の国防に関する重い責任を担い、日々厳しい任務に臨んでいる日本のキーパーソンたちだ。
その活躍には特に注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:航空自衛隊北部航空方面隊公式Webサイト)
◆城殿保(航空自衛隊) 主要経歴
昭和
60年3月 航空自衛隊入隊(第29期)
60年9月 飛行教育集団司令部
63年6月 第6航空団
平成
4年5月 飛行開発実験団
6年8月 幹部学校
7年6月 防衛局調査課
8年1月 3等空佐
10年3月 第7航空団
11年3月 航空幕僚監部防衛部
11年7月 2等空佐
13年4月 第6航空団
16年1月 1等空佐
16年3月 幹部学校
17年8月 航空幕僚監部人事教育部
19年3月 航空幕僚監部運用支援・情報部
19年3月 イラク人道復興支援活動空輸計画部長
19年7月 南西航空混成団司令部防衛部長
20年8月 航空幕僚監部防衛部防衛課長
22年7月 航空幕僚監部防衛部次期戦闘機企画室長 空将補
24年3月 航空幕僚監部防衛部F-35A事業推進室長
24年7月 第3航空団司令兼三沢基地司令
26年3月 航空幕僚監部監理監察官
27年3月 航空幕僚監部人事教育部長
28年7月 北部航空方面隊司令官 空将
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