【退役】清田安志(統合幕僚学校長・陸将)|第29期・陸上自衛隊

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その清田が陸上自衛隊に入隊したのは昭和60年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成16年1月だったので、29期組1選抜のスピード出世であった。

その後、陸将補に昇ったのが23年4月、陸将に昇ったのが29年8月であり、陸将昇任とともに、第6師団長に着任している。


(画像提供:陸上自衛隊第6師団公式Webサイト やまなみ30年5月号より)


(画像提供:陸上自衛隊第12旅団公式Webサイト

その経歴を紐解くと、原隊(初任地)は高遊原に所在する西部方面ヘリコプター隊。

その後、同じ高遊原で第8飛行隊長を務め、また大阪八尾の中部方面航空隊でも隊長に就くなど指揮官ポストを歴任。

平成23年4月に陸将補に昇ると、先述のように第1ヘリコプター団長に補され、さらに第12旅団長に転じ、29年8月に第6師団長に着任して陸将に昇任した。

また中央では、陸幕(陸上幕僚監部)の監理部が多く庶務室長や監理部長の要職を歴任。

その他、海外経験では平成16年1月から我が国が派遣を開始したイラク復興業務支援隊で、その初代となる支援隊長も務めている。

 

なおこの、初代となるイラク復興業務支援隊長を任されたのが清田41歳の若き1等陸佐の時代。

主要な戦闘が終わったとはいえ、まだ戦時中であるイラクの政情は非常に不安定で、自衛隊の宿営地の付近でも次々に実弾が飛び交っていたのが実態だ。

そのような困難な任務に赴くにあたり、清田は防衛大学校在学中に亡くした母の墓前に足を運び、任務の必達と部下の安全を固く誓い、後顧の憂い無く現地入りしたという。

そして非常な覚悟で任務に赴いた清田は、この困難な任務を無事に完遂し、部下とともに無事帰国。

その自衛官のキャリアの中で、非常に大きな功績を残すことに成功した。

 

なお余談だが・・・

清田は見ての通り、50代を半を過ぎてもこの若々しさを保つイケメンだ。

イラクに赴任する際には、中東の文化を尊重しヒゲを生やしていたのだが、これがとてもチャーミングなヒゲヅラであったことから、ちょっとした騒動になる。

インターネットの某有名巨大掲示板で、男性を愛する男性たちが集まる場所で清田のファンクラブが設立されてしまったのだ。

「このかわいい指揮官は誰だ?」

という書き込みから始まり、なかなかすごい事になっていたようだが、ここでは詳細を差し控えたい。

なお念の為だが、清田自身は、「ミリメシよりも妻の手料理のほうが美味しい」と、マスコミの前で断言するほどの愛妻家である。

 

では最後に、その清田と同期である29期組の動向を、簡単にご紹介しておきたい。

29期組は2016年夏の将官人事で最初の陸将が選抜された年次であり、すでに同期の陸上幕僚長候補は出揃っている状況だ。

そして2018年9月現在で、その陸将に在るのは以下の最高幹部たちである。

 

本松敬史(第29期)・統合幕僚副長(2016年7月)

上尾秀樹(第29期)・東北方面総監(2016年7月)

高田克樹(第29期)・東部方面総監(2016年7月)

納富 中(第29期)・防衛大学校幹事(2016年7月)

柴田昭市(第29期)・防衛装備庁長官官房装備官(2017年3月)

山内大輔(第29期)・陸上自衛隊補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令(2017年3月)

清田安志(第29期)・第6師団長(2017年8月)

岩村公史(第29期)・第9師団長(2018年8月)

権藤三千蔵(第29期)・陸上自衛隊関東補給処長兼ねて霞ヶ浦駐屯地司令(2018年8月)

※肩書はいずれも2018年9月現在。( )は陸将昇任時期。

 

上記では、2018年9月現在で陸将にある29期組を全員挙げさせて頂いているが、同期の陸上幕僚長候補と言う意味では実質的に、本松、上尾、高田、納富の4名に絞られている形だ。

ただ陸幕長のポストは、同期だけでなく期別を越えて1つの椅子しか用意されていないために、その先の事についてはまだまだ見通すのは困難な状況である。

まずは山崎幸二(第27期)がおそらく2019年夏の将官人事までの任期となるが、この際の人事の状況がどうなるのか。

注目して見守っていきたい。

 

清田については、厳しい海外経験に加え、現在の陸上自衛隊にとって不可欠な空中機動力を知り尽くしたエキスパートである。

次の補職でもその強みを活かしたポストが用意されることになると思われ、その行方を楽しみに注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:陸上自衛隊第6師団公式Webサイト

◆清田安志(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
60年3月 陸上自衛隊入隊(第29期)
61年3月 西部方面ヘリコプター隊(高遊原)

平成
4年3月 通信学校(久里浜)
5年8月 幹部学校(目黒)
7年8月 航空学校(明野)
8年1月 3等陸佐
8年8月 陸上幕僚監部防衛部(檜町)
11年7月 2等陸佐
13年8月 第8飛行隊長(高遊原)
15年3月 陸上幕僚監部監理部広報室(市ヶ谷)
16年1月 イラク復興業務支援隊(第1次隊)(市ヶ谷) 1等陸佐
16年8月 陸上幕僚監部監理部総務課(市ヶ谷)
16年8月 統合幕僚監部第1幕僚室広報班長(市ヶ谷)
18年3月 幹部学校(目黒)
19年3月 中部方面航空隊長(八尾)
20年3月 陸上幕僚監部防衛部防衛調査官(市ヶ谷)
20年12月 陸上幕僚監部監理部庶務室長(市ヶ谷)
23年4月 第1ヘリコプター団長(木更津) 陸将補
24年7月 陸上幕僚監部監察官(市ヶ谷)
26年8月 陸上幕僚監部監理部長(市ヶ谷)
27年8月 第12旅団長(相馬原)
29年8月 第6師団長(神町) 陸将
31年4月 統合幕僚学校長(市ヶ谷)

令和
2年8月 統合幕僚学校長・陸将として退役

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