その酒瀬川が陸上自衛隊に入隊したのは昭和62年3月。
先述のように航空科の幹部であり、その原隊(初任地)は北海道の帯広に所在する、第5飛行隊であった。
この風雪厳しい北の大地で、初級幹部としての修行を開始した。
その後、航空科の現場では、八戸に所在する第9飛行隊で飛行隊長を。
さらに目達原に所在する西部方面ヘリコプター隊でも隊長職を務め、平成25年には初代となる第15ヘリコプター隊長に着任。
中央では防衛部の研究課や装備部航空機課などで勤務し、また研究本部の総合研究部も所属するなど、研究者としての補職でも力を発揮した。
かと思えば、宮城地方連絡部(かつての地方協力本部の呼称)や香川地方協力本部長を務めるなど、人を扱う分野でも成果を残すなど、驚異的な守備範囲の広さで、あらゆる仕事をこなしてきた。
そして平成30年8月に守山駐屯地業務隊長に着任し、今も変わらず重い責任を担っている。
非常に現場経験豊富な、頼もしいベテラン1等陸佐であると言ってよいだろう。
では次に、その酒瀬川と同期である31期組の人事の状況について見てみたい。
31期組は、ちょうど2018年夏の将官人事で最初の陸将が選抜されたばかりの年次だ。
そしてその陸将に在るのは、2018年9月現在で以下の幹部たちとなっている。
竹本竜司(第31期)・第1師団長(2018年8月)
沖邑佳彦(第31期)・第4師団長(2018年8月)
前田忠男(第31期)・第7師団長(2018年8月)
※肩書はいずれも2018年8月14日現在。( )は陸将昇任時期。
上記のようになっており、31期組についてはこの3名で、同期の陸幕長候補が出揃ったと考えてよいだろう。
本来であれば、4名が1選抜で陸将に昇任するのが慣例であると思われるが、2018年夏の将官人事では3名の陸将昇任に留まっている。
酒瀬川については、これだけ各地の現場で成果を残し、また活躍をしてきた幹部だ。
まだまだその活躍が期待されるところではあるのだが・・・
一方で31期組は、将官に昇らない場合、という前提ではあるが、1佐の場合、2020年度に順次、定年退職を迎えていく年次にあたる。
そう言った意味では、酒瀬川の補職も現職が最後か、もしくは後職でもうひとつ、より責任の重い要職を任されて、そこが退官のポストとなるかも知れない。
これほどまでに充実したキャリアを誇る自衛官であっても、例外なく定年があるという事実を思うと寂しい限りだが、これも自衛隊が精強であり続けるために避けられない制度と言うことなのだろう。
とはいえまだまだ、守山駐屯地の業務隊長という要職にある酒瀬川である。
定年の話はまだまだ早く、その活躍には国民からの熱い期待が寄せられており、目を離す訳にはいかない。
今後とも変わらず、その活躍には注目を続け、そして応援をしていきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
◆酒瀬川友博(陸上自衛) 主要経歴
昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
63年3月 第5飛行隊(帯広)
平成
6年3月 第5師団司令部(帯広)
7年8月 陸上自衛隊幹部学校付(目黒)
9年8月 自衛隊宮城地方連絡部(仙台)
11年8月 陸上幕僚監部防衛部研究課(檜町)
13年3月 陸上自衛隊研究本部総合研究部(朝霞)
14年3月 陸上幕僚監部防衛部研究課(市ヶ谷)
16年3月 第9飛行隊長(八戸)
17年12月 陸上幕僚監部装備部航空機課(市ヶ谷)
20年4月 西部方面ヘリコプター隊長(目達原)
22年4月 防衛監察本部(市ヶ谷)
24年3月 陸上自衛隊航空学校企画室長(明野)
25年3月 第15ヘリコプター隊長(那覇)
27年8月 陸上自衛隊幹部学校教官(目黒)
27年12月 自衛隊香川地方協力本部長(高松)
30年8月 守山駐屯地業務隊長(名古屋)
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