その小野塚が陸上自衛隊に入隊したのは、昭和61年3月。
先述のように30期組のトップエリートであり、1等陸佐、陸将補、陸将と、全ての階級を1選抜で駆け上がってきた最高幹部だ。
米国陸軍戦略大学への留学経験もあるなど、最高幹部に求められる米軍とのパイプにも、いささかの不安もない。
(画像提供:陸上自衛隊第7師団公式Webサイト)
その原隊(初任地)は、愛知県春日井市に所在する第10施設大隊。
その後、多くの幹部にとってもっとも思い出深い補職と言われる中隊長は第9施設大隊(八戸)で。
施設群長は、新潟県上越市の高田駐屯地に所在する第5施設群で経験。
さらに陸将補に昇任後は、施設科トップエリートの指定席とも言うべき、京都の大久保駐屯地に所在する第4施設団長で務めた。
そして、中央でもエリート中のエリートの椅子とも言うべき統合幕僚監部の防衛計画部長を経験するなどし、陸将に昇任。
第7師団長に着任し、その後職として陸上幕僚副長に着任した形だ。
これ以上はない、絵に描いたようなキャリアを歩んできた、次の次の、陸上幕僚長候補の一人である。
では最後に、その小野塚と同期であり、なおかつ陸幕長候補として切磋琢磨する最高幹部について見てみたい。
2018年10月現在、30期組で陸将にある幹部たちは、以下の通りだ。
髙田祐一(第30期)・富士学校長(普通科出身・2017年8月)
小野塚貴之(第30期)・陸上幕僚副長(施設課出身・2017年8月)
野澤真(第30期)・第2師団長(野戦特科出身・2017年8月)
吉田圭秀(第30期相当)・第8師団長(普通科出身・2017年8月)
田中重伸(第30期)・第3師団長(航空科出身・2017年12月)
※肩書はいずれも2018年10月現在。( )は陸将昇任時期。
以上のようになっており、30期組は髙田、野澤、小野塚、吉田の4名が、陸幕長候補として人事の中心にある状況だ。
いずれも全く差がないと言ってもよいほどに充実したキャリアを誇っているが、紙一重で、高田がわずかにトップを走っており、それを小野塚が2番手で追っているという印象だろうか。
とはいえまだまだ、30期組はこれから方面総監人事が決まる年次であり、確たることは何一つわからない状況である。
小野塚については、間違いなく後職でいずれかの方面総監に昇り、最後まで高田と共に30期組最高幹部人事の中心になっていくだろう。
それは、現・陸上幕僚長の山崎幸二(第27期)の、次の次の陸幕長となる可能性が高い、我が国の安全保障体制に非常に大きな影響を与える人事となる。
ここ数年、小野塚と30期組の動向からは目を離せそうにない。
そして結果がどうなろうとも、上記30期組の最高幹部以下、この世代が今まさに、我が国の平和と安全を担う大きな責任を任されていると言う事実にも、一切の変わりはない。
これからも声を大にして、小野塚以下、誇り高い全ての自衛官を応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第7師団公式Webサイト)
◆小野塚貴之(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
61年3月 陸上自衛隊入隊(第30期)
62年3月 第10施設大隊(春日井)
平成
3年3月 第9施設大隊(八戸)
5年3月 第9施設大隊中隊長(八戸)
9年1月 1等陸佐
12年7月 2等陸佐
13年3月 第304施設隊長(出雲)
17年1月 1等陸佐
17年3月 中央資料隊付(米国陸軍戦略大学留学)
18年8月 研究本部研究員
18年12月 陸上幕僚監部防衛部防衛班長(市ヶ谷)
20年8月 第5施設群長(高田)
21年7月 陸上幕僚監部監理部広報室長(市ヶ谷)
23年8月 第10師団副師団長(守山) 陸将補
24年8月 第4施設団長(大久保)
26年3月 統合幕僚監部防衛部副部長(市ヶ谷)
27年8月 統合幕僚監部防衛計画部長(市ヶ谷)
29年8月 第7師団長 陸将
30年8月 陸上幕僚副長
最近の通信学校長も傾向変わってきました。今までは通信科の最後のポスト…だったのが、これからの人がつくようになってきたような
おぉ、それは気がつけていませんでした!
次の学校長の更新の際に、気をつけてキャリアに注目いたします!