その亀山が陸上自衛隊に入隊したのは昭和62年3月。
先述のように、1佐に昇ったのは平成18年1月だったので、31期組1選抜となるスピード出世だ。
陸将補に昇ったのが25年12月だったので、こちらは同期1選抜から1年4ヶ月遅れの、2選抜後期(2番手グループ)ということになり、やはりスピード出世のエリート中のエリートである。
(画像提供:陸上自衛隊第3師団公式Webサイト 師団だより第66号、78号)
その経歴は非常に充実しており、1佐以降のキャリアだけでも、特筆するものばかりだ。
中央即応集団の設立準備に携わり、準備部防衛GP長を務めると、そのまま初代となる防衛部長に着任。
さらに機甲科の幹部としては、非常に名誉あるポストの一つである機甲科の聖地・第7師団隷下の第72戦車連隊で連隊長を経験した。
情報科の幹部としては、中央では運用支援・情報部の地域情報班長や情報課長を歴任し、また小平学校の副校長としても手腕を発揮。
さらに中央情報隊長に着任し、2018年3月に発足した陸上総隊の初代情報部長も兼務して組織の立ち上げに形をつけると、その後職として第11旅団長に着任した形だ。
驚くほどに、機甲科だけでなく情報科でも、主だった要職を歴任してきた最高幹部の一人である。
では最後に、その亀山と同期である31期組の人事の動向について見ておきたい。
31期組は、2018年夏の将官人事で最初の陸将が選抜されたばかりの年次にあたる。
そして2019年5月現在、その陸将の任にある幹部は以下の通りだ。
竹本竜司(第31期)・第1師団長(2018年8月)
沖邑佳彦(第31期)・第4師団長(2018年8月)
前田忠男(第31期)・第7師団長(2018年8月)
原田智総(第31期)・陸上総隊司令部幕僚長(2019年4月)
蛭川利幸(第31期)・第6師団長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年5月現在。( )は陸将昇任時期。
以上のような状況になっており、まずはこの5名が31期組1選抜として名乗りを上げた形だ。
いずれも近い将来の陸上幕僚長候補として遜色のない将星ばかりであり、その活躍がとても楽しみである。
亀山については、素直に考えれば、後職では師団長に着任するのが第11旅団長の次のポストだ。
しかし、情報系の要職を歴任してきたこと、また陸上総隊の新設で人事の流れが変わっており、情報系の存在感が大きくなっていることを考えると、後職は師団長ではなく、そのキャリアを活かした別の要職に着任することになるのではないだろうか。
いずれにせよ、31期組は今まさに、我が国の平和と安全を担う中枢で活躍する幹部の年次である。
亀山を含め、その活躍には特に注目し、そしてこれからも、応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊第11旅団公式Webサイト)
◆亀山慎二(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
平成
2年10月 第10戦車大隊(今津)
3年3月 防衛大学校訓練部指導教官(横須賀)
5年3月 戦車教導隊(富士)
7年8月 幹部学校付指揮幕僚課程(目黒)
9年8月 第7師団司令部第3部(東千歳)
10年1月 3等陸佐
12年3月 陸上幕僚監部人事部補任課(檜山)
13年7月 2等陸佐
14年3月 中央資料隊付米国海兵隊指揮幕僚課程(市ヶ谷)
15年8月 陸上幕僚監部教育訓練部教育課(市ヶ谷)
16年3月 陸上幕僚監部教育訓練計画課
18年1月 1等陸佐
18年3月 中央即応集団準備部防衛GP長(朝霞)
19年3月 中央即応集団防衛部長(朝霞)
19年12月 陸上幕僚監部運用支援・情報部地域情報班長
21年12月 第72戦車連隊長(北恵庭)
23年8月 陸上幕僚監部運用支援・情報部情報課長(市ヶ谷)
25年12月 小平学校副校長(小平) 陸将補
26年12月 第3師団副師団長兼千僧駐屯地司令(千僧)
27年12月 東北方面総監部幕僚副長(行政)(仙台)
28年7月 中央情報隊長(市ヶ谷)
30年3月 中央情報隊長兼ねて陸上総隊情報部長(朝霞)
30年8月 第11旅団長(真駒内)
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