小見明之(第42即応機動連隊長・1等陸佐)|第36期相当・陸上自衛隊

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その小見が陸上自衛隊に入隊したのは、先述のように高校を卒業してすぐとなる、昭和61年3月。

幹部に任官したのが平成5年3月であり、1等陸佐に昇ったのが平成24年1月であったことから、36期(相当)組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。

幹部としての原隊(初任地)は弘前であり、伝統の第39普通科連隊で厳しい初級幹部としてのスタートを切った。

(画像提供:陸上自衛隊米子駐屯地公式Webサイト 広報よなご2015年2月号)

(画像提供:陸上自衛隊米子駐屯地公式Webサイト 広報よなご2015年11月号)

その後、職種部隊では高田に所在する第2普通科連隊を経て、中隊長ポストは我が国の普通科連隊で最大規模を誇る、第11普通科連隊で経験。

連隊長には、米子に所在する第8普通科連隊で一度、上番している。

その間、中央(陸上幕僚監部)では教育訓練部教育訓練課、人事部厚生課などで勤務。

また東北方面総監部の防衛部勤務のほか、富士学校では普通科部の研究課長、総務部総務課長などの要職を歴任した。

そして平成30年12月、連隊相当の部隊長として2度めの上番となる、第42即応機動連隊長に着任。

陸自大改革の目玉である同部隊の本格始動に合わせ、その指揮を執り続けている。

 

なお、小見が第42即応機動連隊長に抜擢された理由だが、おそらくその叩き上げのキャリアに加え、第11普通科連隊で中隊長ポストを経験していることなどが大きいだろう。

先述のように小見は、曹候補生(あるいは一般隊員)として自衛隊に入隊し、現場オペレーションを経験した上で幹部に転じている。

中隊長ポストを務めた第11普通科連隊は、”機甲師団”第7師団の隷下にあり、普通科と機甲科の協働であらゆる事態に迅速に駆けつけ、即応する能力が極めて高い部隊だ。

さらに、最初に連隊長ポストを務めた第8普通科連隊は軽編成の部隊であり、軽武装で高機動力を活かし、日本各地あらゆる場所への即応能力を高めている部隊である。

早い話が、小見が即応機動連隊長に着任しない理由が見当たらないと言うほどに、非常に充実した知見と経験を持つ、諸職種混成部隊の指揮官にふさわしい幹部であるということだ。

とはいえ、一度連隊長に上番していながら、再び連隊編成の部隊でその指揮官に昇るというのは予想外であった。

このあたりは、先述のように恐らく、今後の人事では普通のオペレーションになっていくのかも知れない。

 

なお余談だが、その小見が最初に連隊長に昇った第8普通科連隊。

2019年1月現在で連隊長を務める1等陸佐の天内一雄も、現場叩き上げの連隊長である。

さらにその前任、つまり小見の後任であった福岡和博(第35期相当)も、その自衛官生活のスタートは2等陸士であった。

小見以前の連隊長については詳細を把握していないが、あるいはこの第8普通科連隊では伝統的に、部内幹部や、部内から幹部候補に合格した高級幹部が着任するという指定のポストなのかも知れない。

そういった意味でも、今後の人事の際には注目してもらいたい。

 

では最後に、その小見と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。

36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。

そして、2019年1月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。

 

松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)

德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)

堺一夫(第36期)・富士学校普通科部長兼富士学校諸職種協同副センター長(2017年8月)

藤岡史生(第36期)・北部方面総監部幕僚副長(2017年8月)

若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)

南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)

※肩書は全て2019年1月現在。( )は陸将補昇任時期。

※2019年夏の将官人事以降に昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。

 

以上のようになっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の最高幹部人事で一つ抜け出している形だ。

今後の最高幹部人事も、恐らくこの4名を中心に選抜されていくことになるのではないだろうか。

 

小見については、その豊富な現場経験から今後は、諸職種協働の「総本山」である富士学校での活躍、さらに陸上総隊での要職などを歴任していくのではないだろうか。

まさに、陸自大改革を現場で支え、仕組みに落とし込む大役を担って余りある知見と経験で、我が国と世界の平和のために尽力をし続けてくれるだろう。

今後の自衛隊の形を占う上で、絶対に目を離せないキーマンとなる高級幹部である。

その活躍からは今後も目を離さず、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊米子駐屯地公式Webサイト 広報よなご2016年3月号)

◆小見明之(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
61年3月 陸上自衛隊入隊

平成
4年3月 陸上自衛隊幹部候補生学校(第36期相当)
5年3月 第39普通科連隊(弘前)
10年3月 第2普通科連隊(高田)
16年8月 第11普通科連隊中隊長(東千歳)
19年3月 陸上幕僚監部教育訓練部教育訓練課(市ヶ谷)
21年3月 陸上幕僚監部人事部厚生課(市ヶ谷)
23年4月 東北方面総監部防衛部(仙台)
25年1月 1等陸佐
26年3月 富士学校普通科部研究課長(富士)
26年8月 第8普通科連隊長兼ねて米子駐屯地司令(米子)
28年8月 富士学校総務部総務課長(富士)
30年12月 第42即応機動連隊長(北熊本)

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