伊與田雅一(第10普通科連隊長・1等陸佐)|第36期・陸上自衛隊

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その伊與田が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。

原隊(初任地)は我が国が誇る機甲科の最精鋭部隊の一つ、北海道の北恵庭に所在する第72戦車連隊だ。

機甲科の幹部ではあるが、即応機動連隊の立ち上げを任される形で、普通科連隊の連隊長に上番したと言うことになる。

(画像提供:陸上自衛隊滝川駐屯地公式Webサイト

(画像提供:陸上自衛隊滝川駐屯地公式Webサイト

その後、防衛大学校訓練部の指導教官を経て、職種部隊では小隊長を富士に所在する偵察教導隊で務めた他、2等陸佐であった平成22年3月には、善通寺に所在する第14偵察隊長に上番。

中央では、統合幕僚監部の運用部運用第1課防衛警備班、それに陸上幕僚監部では監理部総務課広報室でも勤務を経験した。

その間、各地の幕僚やスタッフポストでは、研究本部の研究員、西部方面総監部の防衛部運用班長、沖縄地方協力本部の募集課長、中部方面総監部の防衛部訓練課長と言った要職を務めているが、平成13年8月には幹部候補生学校の区隊長を務めていることも印象的だ。

また、高級幹部の登竜門である指揮幕僚課程は陸自のCGSではなく、海自のCS課程に学んでいることもとても特徴的であり、自衛艦隊司令部勤務も経験するなど、陸海空3自衛隊統合運用を象徴するような非常に充実した経歴となっている。

そして平成30年3月から第10普通科連隊長兼ねて滝川駐屯地司令に上番し、伝統ある10普連の最後の連隊長として、また新規発足する第10即応機動連隊の初代連隊長として手腕を振るう。

今の我が国を取り巻く安全保障環境に中で、非常に大きな存在感を持つ高級幹部の一人と言って良いだろう。

 

では最後に、その伊與田と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。

36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。

そして、2019年3月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。

 

松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)

德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)

堺一夫(第36期)・富士学校普通科部長兼富士学校諸職種協同副センター長(2017年8月)

藤岡史生(第36期)・北部方面総監部幕僚副長(2017年8月)

若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)

南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)

※肩書は全て2019年3月現在。( )は陸将補昇任時期。

※2018年夏の将官人事以降に昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。

 

以上のようになっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の最高幹部人事では、先に昇任を果たしている形だ。

恐らく今後の陸将人事も、この4名を中心に選抜が進められていくことになるのではないだろうか。

 

伊與田については、先述のように海自との交流経験に非常に特徴のある幹部だ。

そして陸上自衛隊は、海上自衛隊の掃海隊群、とりわけ第1輸送隊とも緊密に連携しながら、島嶼部防衛にあたることが求められている。

そのような中、統合幕僚監部での勤務経験も多く、また海自との現場における意思疎通にも優れた伊與田が果たすべき仕事はまだまだ山積みであり、今後ともさらに責任のある仕事が任されていくことになるだろう。

その動向はまさに要注目であり、今後ともその活躍を追い続けていきたい。

そして変わらず、エールを送り続けたいと思う。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊滝川駐屯地公式Webサイト

◆伊與田雅一(陸上自衛隊) 主要経歴

平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
4年10月 第72戦車連隊(北恵庭)
8年3月 防衛大学校訓練部指導教官(横須賀)
9年8月 偵察教導隊小隊長(富士)
13年8月 幹部候補生学校区隊長(久留米)
15年3月 幹部学校付・海上自衛隊指揮幕僚課程(目黒)
16年3月 陸上幕僚監部付・自衛艦隊司令部(船越)
17年3月 研究本部研究員(朝霞)
18年2月 統合幕僚会議事務局第3幕僚室(市ヶ谷)
18年3月 統合幕僚監部運用部運用第1課防衛警備班(市ヶ谷)
20年3月 陸上幕僚監部監理部総務課広報室(市ヶ谷)
22年3月 第14偵察隊長(善通寺)
23年8月 西部方面総監部防衛部運用班長(健軍)
25年1月 1等陸佐
25年3月 幹部学校付・統合幕僚課程(目黒)
26年3月 自衛隊沖縄地方協力本部募集課長(那覇)
28年3月 中部方面総監部防衛部訓練課長(伊丹)
30年3月 第10普通科連隊長兼ねて滝川駐屯地司令

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2件のコメント

陸自ヘリ事故で坂本師団長他幹部と同乗していたと報道で知りました。
宮古島駐屯地司令として着任幹部への説明任務だったのでしょうか。
本当に心から心から無事を願ってます。
と同時に事故原因の調査と再発防止を願います。
特に幹部のまとまった行動について考えるべき点があったのでは… 素人考えですが。

ご搭乗されているそうですね。
素晴らしい幹部であるとお聞きしているだけに、本当に心配でなりません。
皆様の無事のお戻りを心から信じております。

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