大塚裕治は昭和39年8月生まれ、福岡県出身の陸上自衛官。
防衛大学校第32期の卒業で69幹候。
出身職種は判然としないものの、そのキャリアから、後方支援系の職種であることは間違いないと思われる。
平成29年8月(2017年8月) 陸上幕僚監部装備計画部長・陸将補
前職は陸上幕僚監部監理部長であった。
2017年9月現在、大塚が補職されている陸上幕僚監部装備計画部長のポストは、陸上自衛隊が調達する装備や需品、役務に関する総合的な調整を行う他、食料や需品の保管、輸送、給養(食事)といった、後方支援に関する幅広い業務を行っている。
いわば後方支援の元締めとも言える部署であり、兵站を考える上で極めて重要な責任を負うポストであるといえるだろう。
有事に備え、どの駐屯地(補給処)にどの程度の装備や需品を用意し、どのようなルートで輸送を行い、もって円滑な部隊運用を担保して作戦実施に寄与していくのか。
非常に地味ではあるが、有事の際に一番問題が発生する作戦項目であって、平時から常に有事を意識し、想定外を想定内に取り込んだ上で準備をする必要に迫られる役職であるといえるだろう。
地味で目立たない仕事といえば、大塚の場合、後方支援系の仕事が多かったため一般市民との接点があるポストといえば2013年から務めた大阪地方協力本部長のポストくらいであったものの、意外なところで2回、マスコミに露出する仕事をしている。
それは2011年8月から務めた陸上幕僚監部広報室長と2015年8月から務めた陸上幕僚監部監理部長のポストで、この2つのポストでは、富士総合火力演習の一般応募抽選会で当選者を決定するくじを引く役を行っており、一部テレビ番組にも登場した。
ちなみにこの2回とも、私は一般枠で応募をしたが、引いてもらうことはできなかった。
どうやら大塚には、余り好かれていないのかもしれない。
さて、その大塚であるが、2017年9月現在、32期組の中で出世レースのトップを走っているスーパーエリートで、この先どこまでそのキャリアを伸ばしていくのか、とても注目を集めている高級幹部の一人だ。
1等陸佐に昇ったのは平成19年1月であり、陸上自衛隊の入隊は昭和63年であることから、文句なしの1選抜。
さらに将補に昇ったのが平成25年8月なので、1等陸佐を6年でパスした、現在の陸上自衛隊の実運用では最短コースでのスピード出世になる。
なお、これら1選抜組から陸将補に昇っている者は、2017年9月現在で以下の8名となっている。
青木伸一(第32期)・西部方面総監部幕僚副長
梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長
大塚裕治(第32期)・陸上幕僚監部装備計画部長
堀井泰蔵(第32期相当)・第5旅団長
森下泰臣(第32期)・陸上幕僚監部人事教育部長
田尻祐介(第32期)・陸上自衛隊航空学校長 兼ねて明野駐屯地司令
鬼頭健司(第32期相当)・陸上自衛隊幹部候補生学校長(2014年12月)
中村裕亮(第32期)・陸上自衛隊研究本部幹事兼企画室長
池田頼昭(第32期)・第10師団副師団長兼守山駐屯地司令
木口雄司(第32期)・陸上自衛隊開発実験団長
(肩書はいずれも2017年10月現在)
陸将補に昇った時期を比べてみると、
大塚、森下、梶原、堀井・・・平成25年8月
田尻、中村・・・平成26年3月
木口・・・平成27年8月
青木・・・平成27年12月
池田・・・平成28年3月
となっており、これらスーパーエリートは、今のところは木口、青木、池田が少し出遅れた以外は横一線に近いと言えるが、敢えて誰が今後、一つ頭を抜け出すか。
それを予測すると、おそらく梶原ではないだろうか。
梶原のキャリアを見ると、米国留学はもちろん、陸幕経験や統幕経験も豊富で、陸上自衛隊全体を俯瞰するポストを多く経験している。
また「軍事革命と陸上自衛隊の対応–日本陸軍の失敗を繰り返さないために」など、過去の教訓から学び今後の陸上自衛隊のあり方を説いた著作も興味深く、陸自きっての理論派でもある。
自他ともに認める英才であり、今後もそのような評価のもとで、その手腕を発揮し続けてくれるのではないだろうか。
非常に楽しみな高級幹部の一人だ。
大塚に関しては、後方支援出身であることから客観的な評価をしづらいというのが率直なところだ。
トップグループを快走しているものの、いぶし銀のような仕事が多いためになかなか派手な実績が見え辛いが、今以上のポストに昇れば、否応なしに露出も増え、さらにその人物像や仕事ぶりが見えてくるだろう。
そういったポストへの異動はおそらく、2年後あたりとなるであろうか。
そしてその時期に師団長に昇ったものが、6年後をめどに頂上の椅子を狙うことになるだろう。
近い将来の陸上幕僚長候補が出揃った32期。
今からが目を離せない、楽しみな世代だ。
◆大塚裕治(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
63年3月 陸上自衛隊入隊(第32期)
平成
11年1月 3等陸佐
14年7月 2等陸佐
18年3月 陸上幕僚監部防衛課
19年1月 1等陸佐
19年3月 幹部学校付
20年3月 陸上自衛隊研究本部研究員
21年4月 陸上幕僚監部会計課予算班長
23年4月 陸上自衛隊幹部学校教官
23年8月 陸上幕僚監部総務課広報室長
25年8月 大阪地方協力本部長 陸将補
27年8月 陸上幕僚監部監理部長
29年8月 陸上幕僚監部装備計画部長
【注記】
このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。
自衛官各位の敬称略。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。
【引用元】
防衛省陸上自衛隊 第36普通科連隊公式Webサイト(16式機動戦闘車写真)
http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/36i/07_28-49.html
防衛省 防衛白書公式Webサイト(12敷地対艦誘導弾写真)
http://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2012/2012/html/n2331000.html
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