【退役】馬塲清美(ばば・きよみ)|第28期・陸上自衛隊

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馬塲清美(馬場清美)は昭和36年4月23日生まれ、熊本県出身の陸上自衛官。

防衛大学校第28期(電)の卒業で幹候65期、出身職種はそのキャリアから推測し、恐らく通信と思われる。

 

平成30年3月(2018年3月) 陸上自衛隊東北補給処長・陸将補のポストを最後に退役となった

前職は第6師団副師団長であった。

なお、本来の苗字表記は馬塲だが、以下は簡易表記の馬場で記載していくことをご容赦願いたい。

 

「兵站の実効性向上」をテーマに、東北方面隊をより精強な部隊とすべく、補給処の改革に全力を尽くしていた馬場。

長年に渡り、後方支援部隊の指揮を執り陸上自衛隊を縁の下から支え続けた男がまた一人、2018年3月27日に退役となった。

 

将官に昇り最初の補職は第6師団副師団長(山形県神町)。

その後職として東北補給処長を務めたので、自衛官としての晩年は、防災・減災体制の確立と、多くの悲惨な教訓を元に、あらゆる事態を想定した上での物流と兵站ルートの確保であった。

「実効性のある兵站」はまさに、緊張感を持って取り組むべき課題であり、不幸な経験値を財産として未来に遺すために最優先に取り組むべき課題であったと言えるだろう。

 

その大仕事をやり遂げた上での退役だ。

東北にはまだ桜前線が届いていない時期の退役となったが、生まれ故郷の熊本は桜が満開の時期、きっと退役後は田舎にも戻り、暖かな春の日に桜を眺めながら、積年の疲れを癒やして過ごしたのではないだろうか。

 

長い間、本当にお疲れ様でした、ありがとうございました。

馬塲陸将補の第二の人生も、充実した素晴らしいものとなりますことを、心からお祈り申し上げます。

 

【以上、2018年3月31日加筆】

※以下は2017年12月1日までに記してきた記事であり、最新の情報を反映していない。

 

 

忙しい東北補給処長の任務の傍らで、趣味である読書とスポーツ観戦を楽しむ馬場だ。

東北補給処は仙台駐屯地に位置する、東北方面隊の兵站を一手に担う後方支援業務の中核をなす部隊であり、各種装備・備品を調達する受け皿となっている。

 

その第35代処長に補職された馬場の指導方針は、「兵站の実効性向上」。

後方支援のエキスパートとしてあらゆる職務をこなしてきた馬場らしい、根本的な業務効率の向上を、自らにとってもっとも大事な職務と位置づけている。

 

その馬場のキャリアを少し紐解いてみると、陸上自衛隊に入隊したのが昭和59年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成15年1月なので、堂々の同期1選抜(1番乗り)のスピード昇任で佐官までを駆け上がった。

その後、陸将補に昇ったのが平成27年8月なので、こちらは1等陸佐を12年務めたことになり、現場指揮経験が非常に厚い最高幹部となっている。

 

その間、研究本部研究員、中部方面総監部通信群長、福島地方協力本部長、東部方面総監部装備部長など、非常に幅広い業務で能力の高さを見せ、最高幹部らしい仕事ぶりを如何なく発揮。

その仕事ぶりが評価され、将補に昇任と同時に第6師団副師団長に昇った。

後方支援を担う最高幹部らしく、なんでもこなせてしまうのが馬場の強みだ。

 

 

一方で28期組と言えば、一つ上に山崎幸二(第27期)・陸上幕僚長がいる年次であり、また第5旅団長であった正木幸夫(第28期相当)は既に早期退職勧奨を受け退役をしているなど、長かった自衛隊生活の総仕上げに入っている世代だ。

 

あるいは馬場も、東北補給処長の職を最後に勇退するか、もしくは2017年冬の人事で通信学校長のような、後進を育てるポストに異動した上で勇退を迎えるかもしれない。

長きに渡り、幅広い分野で力を発揮してきた陸将補の退役はとても残念だが、これも自衛隊が精強で有り続けるためにはやむを得ない人事なのだろう。

 

なお、その28期組は一方で、次期陸上幕僚長を争っている、タレントの多い世代でもある。

馬場の同期である28期組は、近年稀に見る程に要職に着任した陸将を多く誕生させた世代であった。

 

2017年11月現在の状況だが、28期組で切磋琢磨し合い、陸上幕僚長レースにしのぎを削っているのは以下の陸将たちである。

 

岸川公彦(第28期)・中部方面総監 施設科出身

湯浅悟郎(第28期)・西部方面総監 普通科出身

住田和明(第28期)・東部方面総監 高射特科出身

田浦正人(第28期)・北部方面総監 機甲科出身

岩谷要(第28期)・陸上自衛隊研究本部長 施設科出身

※肩書はいずれも2017年11月現在

 

陸上自衛隊は、海空に比べトップの世代交代が早く進んでいるので、恐らく第36代陸幕長の山崎の後任は、28期組から選抜されることになるはずだ。

その際には、上記5名のいずれかから後任が選ばれることになるが、詳細は別コラム、

【コラム】次期陸上幕僚長人事予想|第37代・2017年10月予想

で詳述しているので、ここでは割愛したい。

 

いずれにせよ、28期もしくはその後輩から陸上幕僚長が誕生するのは、2019年夏の人事が一つの目安になるだろう。

その際には、28期組以前の将官の多くが退役することになる。

 

これまで、国防に対する献身的な働きで我が国の平和と安全に貢献し続けてきた馬場だ。

その活躍には最後まで注目し、応援して行きたい。

 

◆馬塲清美(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
59年3月 陸上自衛隊入隊(第28期)

平成
7年1月 3等陸佐
10年7月 2等陸佐
15年1月 1等陸佐
15年3月 幹部学校付
16年4月 陸上幕僚監部援護業務課総括班長
18年3月 研究本部研究員
18年8月 中部方面総監部通信群長
20年12月 福島地方協力本部長
22年12月 陸上幕僚監部装備計画部通信電子課長
25年4月 東部方面総監部装備部長
27年8月 第6師団副師団長 陸将補
28年7月 陸上自衛隊東北補給処長
30年3月 退役

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第6師団公式Webサイト(イベント写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/activity/h28.1_adult_celebration.html

http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/activity/h28.4_anniversary.html

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