その六車が陸上自衛隊に入隊したのは、先述のように昭和54年4月、若干15歳の春である。
防衛大学校(防衛省職員)出身ではないので、すでに40年間、陸上自衛官である計算だ。
1等陸佐には幹候68期組の1選抜(1番乗り)で昇任し、陸将補には平成30年8月に昇っている。
(画像提供:自衛隊兵庫地方協力本部公式Webサイト)
(画像提供:陸上自衛隊武器学校公式Webサイト)
佐官以降の経歴だけで見ると中央での活躍が多く、陸上幕僚監部調査部調査課(組織替えで運用支援・情報部運用支援課)を経て、班長ポストは防衛部情報通信・研究課総括班長で、課長ポストは装備計画部武器・化学課長でそれぞれ経験。
幕僚やスタッフのポストでは、陸上自衛隊研究本部研究員、中部方面総監部装備部長などで組織を支えた。
また指揮官ポストでは、第9後方支援連隊長、兵庫地方協力本部長、関東補給処副処長としても辣腕を発揮。
そしてその関東補給処副処長の後職として令和元年8月、武器学校長に昇り後進の育成に大きな責任を担っている。
自衛官にとってもっとも名誉あるポスト、出身職種の職種学校長を務めるのにふさわしい、最高幹部の一人であると言ってよいだろう。
なお余談だが、上記2枚めの写真はその武器学校長室に備え付けられている飾り棚だ。
実は武器学校が所在する土浦駐屯地は、戦前海軍の予科練の教育課程が設置されていた場所である。
そしてこの飾り棚は戦前から受け継がれているもので、歴代の土浦海軍航空隊司令等が愛用し、今に伝わっているものである。
そんな、歴史と文化が大切に守られている駐屯地の現状にも、興味を持って頂ければ嬉しく思う。
では最後に、その六車と同期である31期組の人事の動向について見てみたい。
31期組は、2018年夏の将官人事で最初の陸将が選抜されたばかりの年次にあたる。
そして2019年9月現在では、以下の幹部たちがその任にあたっている。
竹本竜司(第31期)・陸上幕僚副長(2018年8月)
沖邑佳彦(第31期)・第4師団長(2018年8月)
前田忠男(第31期)・第7師団長(2018年8月)
原田智総(第31期)・陸上総隊司令部幕僚長(2019年4月)
蛭川利幸(第31期)・第6師団長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年9月現在。( )は陸将昇任時期。
以上のようになっており、まずはこの5名が、31期組の陸将に昇任している形だ。
中でも竹本は、第1師団長からいち早く「次の出世ポスト」に異動になり、特に注目を集める結果となった2019年夏の将官人事であった。
ただ、陸自は今、定年延長や陸上総隊の新設の影響もあり、正直人事の新しいルーティンが読み辛い状況にある。
そういった意味では、まだまだ31期組の人事の動向は、定まっていないと言ってよいのではないだろうか。
六車については、後職としてあるいは、いずれかの補給処長に着任する事になるのではないだろうか。
現職を2年間務めたとしても、まだもう少し勇退には間がありそうであり、もう1ポスト、重い責任を担い我が国の国防に尽力をしてくれるものと予想している。
いずれにせよ、31期組と六車は今まさに、我が国と世界の平和を中心になって担っている世代である。
その活躍には注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:自衛隊兵庫地方協力本部公式Webサイト)
◆六車昌晃(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
54年4月 陸上自衛隊入隊・少年工科学校第25期
62年3月 幹部候補生学校(第68期)
平成
10年1月 3等陸佐
13年7月 2等陸佐
18年1月 陸上幕僚監部調査部調査課 1等陸佐
18年3月 陸上幕僚監部運用支援・情報部運用支援課
18年8月 幹部学校付
19年8月 研究本部研究員
19年12月 陸上幕僚監部防衛部情報通信・研究課総括班長
21年8月 研究本部研究員
22年8月 第9後方支援連隊長
23年12月 中部方面総監部装備部長
26年8月 陸上幕僚監部装備計画部武器・化学課長
28年7月 兵庫地方協力本部長
30年8月 陸上自衛隊関東補給処副処長 陸将補
令和
元年8月 武器学校長
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