中野義久(なかの・よしひさ)|第31期・陸上自衛隊

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中野義久は昭和39年4月生まれ、大阪府出身の陸上自衛官。

防衛大学校第31期の卒業で幹候68期、出身職種は施設科だ。

 

平成29年7月(2017年7月) 東部方面総監部幕僚長兼ねて朝霞駐屯地司令・陸将補

前職は陸上自衛隊施設学校長であった。

 

2018年1月現在、東部方面総監部幕僚長を務める中野だ。

全米屈指の名門として知られる米ニューヨークのコロンビア大修士に留学・卒業し、CGSは41期。

絵に描いたような陸自のエリート自衛官であり、施設科ど真ん中のエリートコースを歩んで、順調に出世を重ねてきた。

 

この間、第5施設団長、施設学校長と、施設科色の強い補職では既に行き着くところまで昇り詰めており、この後の補職は出身職種の枠を越え、全軍を統括・俯瞰するポストばかりだ。

また自衛隊を志望する若者たちへの勧誘や、退役する自衛官たちへの職の斡旋、あるいは地域との連携を図る最前線のポストにあたる地本長(地方協力本部長)を大阪で務めており、高いコミュニケーション能力を活かした補職も経験している。

 

また変わったところでは、平成23年からは自衛隊のサイバー戦を研究する部隊でもある陸幕の情報通信・研究課長に着任。

ある意味において、立ち遅れていると言っても良いこの分野において実行部隊の責任者を務めるなど、その能力の幅の広さを感じさせるポストも経験した。

 

そして、2017年7月からは東部方面総監部幕僚長の要職を務めているが、このポストは後職で陸将に昇り、いずれかの師団長に昇る可能性が極めて高い補職だ。

中野は第41代の幕僚長にあたるが、過去40人を数える同ポスト経験者のうち、31人が後職で師団長に着任している。

おそらく中野も、後職ではあるいは相当職に就くことになるのではないだろうか。

 

 

さて、その中野の昇任予想と中野を含む31期の幹部の状況について見てみたい。

中野自身は、1等陸佐に昇ったのが平成18年1月。

31期は昭和62年3月の入隊なので、1選抜(1番乗り)のスピード出世だ。

陸将補に昇ったのは平成25年8月であり、こちらは同期1選抜に比べ1年遅れとなったが、それでも堂々のスピード出世であり、超が付くエリートである。

 

その31期の幹部の状況だが、2018年1月現在で陸将補の階級に在るものは以下のようになっている。

なお31期は、2018年夏の将官人事で最初の陸将が選抜される年次にあたるので、以下の陸将補たちが出世頭だ。

 

沖邑佳彦(第31期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2012年7月)

竹本竜司(第31期)・第11旅団長(2012年7月)

前田忠男(第31期)・陸上幕僚監部防衛部長(2012年7月)

原田智総(第31期)・第15旅団長(2012年7月)

蛭川利幸(第31期)・中部方面総監部幕僚長(2013年3月)

中野義久(第31期)・東部方面総監部幕僚長兼ねて朝霞駐屯地司令(2013年8月)

亀山慎二(第31期)・中央情報隊長(2013年12月)

小和瀬一(第31期相当)・陸上幕僚監部監察官(2014年3月)

藤岡登志樹(第31期)・陸上自衛隊富士学校副校長(2014年8月)

眞弓康次(第31期)・陸上自衛隊武器学校長兼土浦駐屯地司令(2015年2月)

片岡義博(第31期)・第1特科団長兼ねて北千歳駐屯地指令(2015年7月)

吉野俊二(第31期)・陸上自衛隊化学学校長兼大宮駐屯地司令(2015年12月)

森脇良尚(第31期)・第2師団副師団長(2016年12月)

鵜居正行(第31期)・防衛装備庁プロジェクト管理部プロジェクト管理総括官(2017年3月)

野村悟(第31期)・中央即応集団副司令官(2017年3月)

※肩書はいずれも2018年1月現在。( )は陸将補昇任時期。

 

2018年1月現在の状況だけで見ると、沖邑、竹本、前田、原田の4名が31期組の陸上幕僚長候補として、一歩リードしていると言えるだろう。

これを、1選抜の翌年に陸将補に昇任した、蛭川、中野、亀山が追っている形だ。

1選抜で先を行く4名に何かあった場合、あるいは陸将補としての補職で評価を落としているような状況があれば、おそらく蛭川か中野が、2018年夏の人事で1選抜で陸将に昇り、いずれかの師団長に昇ることもあるだろう。

そして陸上自衛隊の場合、1選抜で陸将に昇ったものがそのまま、同期の陸上幕僚長候補として切磋琢磨することになるので、中野にとってもまさに、2018年が大きな節目の年になるのではないだろうか。

 

夏の将官人事は、我が国で今後5年間、国防の意思決定を担っていく最高幹部が選ばれる、重要な人事だ。

毎年のことではあるが、今年は31期組が1選抜で陸将に選ばれる年になる。

ぜひ、中野と上記陸将補たちの異動と活躍に、注目して欲しい。

 

本記事は当初2017年8月25日に公開していたが、加筆修正が重なったので2018年1月31日に整理し、改めて公開した。

◆中野義久(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
62年3月 陸上自衛隊入隊(第31期)
63年3月 第12師団 第12施設大隊

平成
2年8月 コロンビア大修(国際)
5年8月 陸上自衛隊 施設学校
9年8月 内部部局 (防衛)
10年1月 3等陸佐
11年8月 第3施設団 第303ダンプ車両中隊長
13年7月 2等陸佐
13年3月 陸上幕僚監部装備部装備計画課
16年3月 陸上幕僚監部防衛部防衛課
18年1月 1等陸佐
18年8月 陸上自衛隊幹部学校 学生
19年8月 陸上自衛隊研究本部 研究員
19年12月 統合幕僚監部防衛計画部 防衛班長
21年8月 第2施設団 第11施設群長
23年4月 陸上幕僚監部防衛部 情報通信・研究課長
25年8月 第5施設団長兼ねて小郡駐屯地司令 陸将補
27年8月 自衛隊大阪地方協力本部長
28年6月 陸上自衛隊施設学校長
29年7月 東部方面総監部幕僚長兼ねて朝霞駐屯地司令

 

【注記】

このページに使用している画像の一部及び主要経歴は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。

主要経歴については、将補以上の階級のものにあっては防衛年鑑あるいは自衛隊年鑑も参照。

自衛官各位の敬称略。

※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。

【引用元】

防衛省陸上自衛隊 第5施設団公式Webサイト(顔写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/link/5ebhp/newpage42.html

防衛省陸上自衛隊 東部方面隊公式Webサイト(小野寺防衛相随行写真)

http://www.mod.go.jp/gsdf/eae/new/2909d.html

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