航空幕僚長であった杉山良行(第24期)が勇退となった2017年12月の航空自衛隊空将人事。
他にも、一般大学卒からF-15戦闘機パイロットになったばかりでなく、我が国のホットスポットで要職を歴任した宮川正(第26期)が退役になるなど、空自にとって本当に寂しい冬になった。
また、陸海空自衛隊で将をほとんど排出することがない奈良県から空将に昇った小野賀三(第26期)も勇退になるなど、本当に寂しい人事になったが、どれだけ優れた自衛官でも退役の時が来るという事実。
そんなことを思い知らされる冬になってしまった。
もっとも奈良については、日本で唯一陸自の駐屯地がなく、海無し県ということもあって海自の基地もなく、航空自衛隊奈良基地(幹候学校)にブルーインパルスが来る(上空演舞)だけで、”市民団体”が大騒ぎする土地柄である。
そのような土地から、自衛隊の傑物が排出されるかと言えばなかなか難しいのは当たり前かもしれない。
防衛大学校や自衛隊を志願する若者が絶対的に少なくなることには、それなりの理由があるのだろう。
ちなみに、左派系の政治家で有名な人アンケートを取れば恐らく上位に来ることは確実であろう辻元清美氏は大阪人のイメージが強いが、実は奈良県出身だ。
中学まで奈良で育ち、奈良教育大付属中学校の卒業である。
奈良に限らず、近畿地方出身の将官は人口比に比べ圧倒的に数が少ないが、伝統的に左派系言論人が育つ地域からは、なかなか自衛隊の高官が生まれにくいのかもしれない。
さて、ところで空将一覧についてだ。
そのような引退劇があった中で、新たに航空幕僚長に昇ったのは丸茂吉成(第27期)。
トークも上手く人間的な魅力に溢れた27期の高級幹部だ。
何よりもイケメン(個人的感想)である。
西方・南西での現場経験も豊富であり、文句無しでの航空幕僚長着任であった。
丸茂であれば、一国民として安心して我が国の安全保障を任せられると思わせてくれる、本当に適任の人事であったのではないだろうか。
また、今回の人事で新たに空将に昇ったものは井上浩秀(第29期相当)と上ノ谷寛(第30期)の2名。
対して退役となった空将は杉山、小野、宮川の3名であったが、これは宮川が情報本部長であったことによる。
情報本部長は、陸海空自衛隊で「緩く持ち回り」になるポストであり、後職には海自の大塚海夫(第27期)が着任したので、その分、空将が16名から15名に減った形だ(医官除く、幕僚長含む)。
また、今回の空自の異動では、第26期の将官が全員退役となった。
24期の航空幕僚長であった杉山を含め、24~26期の航空自衛官は完全に退役となった人事でもあり、これもまた世代交代の寂しさを感じさせる。
時代は27期以降が背負うことになったわけだが、間もなくその27期も、幕僚長を除いてそのほとんどが退役となるだろう。
個人的な思い入れで恐縮だが、26~28期あたりが、管理人が防衛省防衛モニターを拝命した頃に将補に昇った世代で、最初に”近さ”を感じることができた幹部だった。
そのため、一番親しみがある世代だったのでとりわけ寂しい。
とはいえ、まだ最高幹部として力を奮っている世代でもある。
まだまだ、力強く応援していきたい。
なお、例によってアイキャッチ画像の美しい女性は、人事異動とは何の関係もない。
航空自衛隊の渡邉佳緒里2尉である。
自衛隊の「男女共同参画」特設サイトで紹介されている、文字通り女性の活躍を象徴するかのような、極めて優秀な才色兼備の女性自衛官だ。
おっちゃん画像ばかりの当サイトの中で、一服の清涼剤として美しい女性自衛官をご覧頂ければと、防衛省のルールに従い引用させて頂いた。
なお渡邉2尉。
女性の年齢を言うのは何だが、左胸に通称”赤いきつね”(防衛記念章第33号)が見えるので自衛隊歴は10年以上だ。
幹部候補生入隊であれば、10年以上の勤務で2尉という可能性はまず無いはずなので、曹候補生からの入隊だろうか。
恐らく30歳は越えているような気がするが、幹部としての激務をこなしながらこの若々しさ、本当に恐るべしである。
これからも、素敵な笑顔でお仕事頑張ってください。
氏名 | 期別 | 生年月日 (昭和) |
出身地 | 昇任 (西暦) |
補職 | ひとこと |
丸茂吉成 | 27 | 34年8月 | 群馬 | 2014.08 | 航空幕僚長 | 話術巧みなイケメン紳士。 西方・南西経験豊富な現場感に優れた幕僚長だ。 |
前原弘昭 | 27 | 35年5月 | 長崎 | 2014.03 | 航空総隊 司令官 |
航空総隊司令官まで昇った最高幹部。 同期の空幕長着任で間もなく勇退の見込み。 |
荒木淳一 | 27 | 36年1月 | 宮崎 | 2014.12 | 航空教育集団 司令官 |
空自教育部門の最高責任者。 同期の空幕長着任で間もなく勇退の見込み。 |
橋本尚典 | 27 | 35年1月 | 熊本 | 2015.12 | 防衛装備庁 長官官房 装備官 |
現役空将きっての整備畑のエキスパート。 航空機の裏表を知り尽くす男。 |
武藤茂樹 | 28 | 36年12月 | 埼玉 | 2015.03 | 航空総隊 副司令官 |
南西航空方面隊初代司令官。 28期1選抜空将。 |
荒木文博 | 28 | 36年10月 | 長崎 | 2015.08 | 航空幕僚副長 | 韓国防衛駐在官経験があり、北東アジア危機に通じる航空幕僚副長。 今最も必要な知見を持つ幹部。 |
山田真史 | 28 | 36年8月 | 長崎 | 2015.12 | 航空支援集団 司令官 |
28期組空幕長候補の一人。 おかしな昇任経歴を持つイーグルドライバー。 |
城殿保 | 29 | 36年11月 | 愛知 | 2016.07 | 北部航空方面隊 司令官 |
29期組絶対エース。 次期航空幕僚長なるか。 |
三谷直人 | 29 | 36年4月 | 石川 | 2016.07 | 補給本部長 | 補給本部長からの栄転はあり得るのか。 29期組要注目の最高幹部。 |
増子豊 | 29 | 38年2月 | 岩手 | 2016.12 | 統合幕僚監部 運用部長 |
南方から北方までバランス良い空自幹部。 次のポスト次第の要注目将官。 |
長島純 | 29 | 35年9月 | 東京 | 2016.12 | 航空自衛隊 幹部学校長 |
日本版NSC創設の実質的な責任者 制服組きっての知将 |
井上浩秀 | 29 相当 |
36年4月 | 山梨 | 2017.12 | 航空開発実験 集団司令官 |
「空の勝利は技術に在り」 学習院大卒で歴史ヲタ、中国防衛駐在官経験もある航空機整備出身の幹部 |
金古真一 | 30 | 38年10月 | 熊本 | 2017.08 | 中部航空方面隊 司令官 |
30期組のトップエリート。 要撃管制のスペシャリスト。 |
井筒俊司 | 30 | 39年3月 | 千葉 | 2017.08 | 西部航空方面隊 司令官 |
30期組のトップエリート。 米国留学を繰り返した、空自きっての知米派。 |
上ノ谷寛 | 30 | 38年8月 | 大阪 | 2017.12 | 南西航空方面隊 司令官 |
もっとも厳しい南西方面を預かる空将 米国にも北東アジアにも通じる異色のキャリア |
【注記】
このページに使用している画像は、防衛省のルールに従い、防衛省のHPから引用。
自衛官各位の敬称略。
※画像はそれぞれ、軽量化やサイズ調整などを目的に加工して用いているものがある。
【引用元】
防衛省航空自衛隊 「航空自衛隊について」公式Webサイト(女性自衛官活躍紹介パンフレットより)
http://www.mod.go.jp/asdf/about/ge_wlb/index.html
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