その齋藤が海上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。
先述のように、33期のトップエリートであり、1等海佐に昇ったのが20年1月、海将補に昇ったのが26年8月と、ともに33期の1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
ただでさえ、将官に昇るものが少ない海上自衛隊において、1選抜で将官に昇ることはまさに、同期1~2を争う人材であると言って良いだろう。
(画像提供:海上自衛隊幹部候補生学校公式Webサイト)
(画像提供:海上自衛隊幹公式フェイスブック)
1選抜で将官に昇ったエースなので、その補職はどれも印象深いものばかりだが、現場指揮官としてはやはり第1護衛隊群司令のポストが印象的だ。
護衛隊群司令は強力な海上戦力を率いていることから、その人事自体がすでに諸外国へのメッセージであり、その行動こそが我が国の意思表示となる。
北朝鮮有事の危機に揺れる2017年5月には、第1護衛隊群が部隊として米軍補給艦の護衛任務を行ったが、非常に大きな政治的・軍事的メッセージとなって諸外国に伝えられたことは記憶に新しい。
とりわけ齋藤が第1護衛隊群を預かっていた時期には、最新型DDH(ヘリ空母)である「いずも」が就役し、同護衛隊群に配置されている。
1番艦の「いずも」、2番艦の「かが」と併せて、2030年代にかけて我が国の国防の柱となる海上戦力だが、この期待の最新鋭艦の最初の戦力化を、齋藤は任されたと言うことだ。
その事実ひとつを取っても、齋藤にかけられている海上自衛隊内外の期待は非常に大きく、また担っている責任の重さをご理解頂けるのではないだろうか。
では最後に、その齋藤と同期である33期組の人事の動向を見てみたい。
第33期組は2014年に最初の海将補が選抜され、2020年夏の将官人事で最初の海将が選抜される予定の年次にあたる。
そして2018年9月現在、海将補の任にある幹部は以下の通りだ。
齋藤聡(第33期)・海上幕僚監部防衛部長(2014年8月)
真殿知彦(第33期)・統合幕僚監部防衛計画部副部長(2014年8月)
俵干城(第33期)・海洋業務・対潜支援群司令(2015年3月)
市田章(第33期)・統合幕僚監部指揮通信システム部長(2015年8月)
関口雄輝(第33期)・舞鶴地方総監部幕僚長(2015年8月)
小峯雅登(第33期相当)・呉地方総監部幕僚長(2016年3月)
近藤奈津枝(第33期相当)・統合幕僚監部首席後方補給官(2016年12月)
今吉真一(第33期)・防衛装備庁長官官房艦船設計官(2017年3月)
※肩書は全て2018年9月現在。( )は海将補昇任時期。
※2018年8月の昇任海将補については、期別の確認ができていないために追記する可能性あり。
以上のようになっており、まずは齋藤と真殿が一歩リードしている形だが、海上自衛隊では1選抜での将官昇任がそのまま、海将1番乗りとなる可能性が高いわけではない。
齋藤と真殿に加え、俵、市田、関口辺りまでがおそらく1選抜の海将候補として、2020年夏の将官人事の際に名前が上がってくることになるだろう。
いずれにせよ、齋藤を始めとした33期組は今まさに国防の中枢で重い責任を担っている世代であり、2020年代前半にかけて、さらに重要なポストに昇っていくことになる年次だ。
その動向は要注目であり、より一層の応援をしていきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:海上自衛隊幹部候補生学校公式Webサイト)
◆齋藤聡(海上自衛隊) 主要経歴
平成
1年3月 海上自衛隊入隊(第33期)
12年1月 3等海佐
15年7月 2等海佐
17年4月 第4護衛隊群幕僚
18年3月 いそゆき艦長
20年1月 1等海佐
20年3月 護衛艦隊司令部幕僚
20年7月 幹部学校付(米海大指揮課程)
21年7月 海上幕僚監部防衛課
22年7月 海上幕僚監部防衛課防衛班長兼幹部学校
23年8月 第14護衛隊司令
24年7月 海上幕僚監部教育課長
25年8月 海上幕僚監部補任課長
26年8月 第1護衛隊群司令 海将補
28年7月 護衛艦隊司令部幕僚長
29年8月 海上自衛隊幹部候補生学校長
30年8月 海上幕僚監部防衛部長
管理人殿、お疲れ様です。
いつも楽しく拝見させていただいております。
個人的に山村閣下の次の海上幕僚長は出口閣下(西閣下はコロナでやらかし、湯浅閣下は自衛艦隊司令官として指揮官として栄誉ある終わり方を選択なさる気がする。それに近年全く佐世保地方総監が海幕長に昇っていない)だと考えております。
問題はその次で、次の次の海上幕僚長は齋藤閣下になる気が個人的にはしています。
何となくですが齋藤閣下は前統合幕僚長たる21期ラスボスに似たオーラを私は感じたからです。また次の次の海上幕僚長は統合幕僚長になれる可能性が非常に高いポジションにあります(持ち回りですし )。
統合幕僚長を32期から出すにしても(あまりこのような言い方は良くないかもしれないが)今の面々を見た限りだと海上幕僚長ならともかく統合幕僚長に昇るには今一つ足りない気がします。それに対し齋藤閣下はキャリアから見て不足は無さそうです。
現在護衛艦隊司令官を務めておられますが、次の異動で統合幕僚副長になられたら、(21期ラスボスと同じ海将以降の出世ルートになるので)更に注視していきたいです。
正直近藤閣下の史上初の女性海幕長を見てみたい気はしますが、期別管理(齋藤閣下と同期だから)もあり前記の通り無さそうです。せめて補給本部長あたりに昇り海将になられるのを祈っております。
管理人殿は次の次の海幕長の予想をなさっておられますか?おられるなら教えて下さい私にだけ(笑)
そして重ねてお願いしますが管理人殿におかれましても一緒に祈って下さると幸いです(笑)
長文失礼しました。
コメントを頂きましてありがとうございました。
海自では確かに、海幕長に昇るよりも現場で現役を去ることを好み、あるいはそのことを名誉に感じるという価値観があるそうですね。
そういった意味では、湯浅海将は現職を最後にご退役を迎えられても、海幕長に昇られても、どちらでも素晴らしいことだと思います。
ちなみに私は、齋藤海将との比較という意味では全く無く、湯浅海将が大好きです(笑)
掃海隊群を預かっていたキャリアからも、あるいは可能性が高いかも知れませんね。
いずれにせよ、皆さん頑張れー
(^◇^)