近藤奈津枝 (統幕首席後方補給官・海将補)|第33期相当・海上自衛隊

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その近藤が海上自衛隊に入隊したのは、先述のような経緯で大学卒業から1年後の、平成元年3月。

初任地は横須賀補給処の誘導武器支援部支援第1科であり、以降経理補給部門の幹部として、各地の職種部隊で指揮を執ることになる。


(画像提供:防衛省公式Webサイト


(画像提供:陸上自衛隊東北方面隊公式Webサイト みちのく30年4月号)

長かった海自幹部としての人生の中で、洋上勤務は平成6年8月からの1年間、練習艦やまぐも補給長のみであり、後は全て丘勤務だ。

第1整備補給隊の第1補給隊長、鹿屋の第1補給隊長などの指揮官職も多く歴任し、また中央では海上幕僚監部経理課主計班長、海上幕僚監部厚生課長と、班長職、課長職も経験。

地方隊や補給処では、艦船補給処管理部長や佐世保地方総監部の経理部長といった部長職を務めるなど、経理・補給系の幹部として経験するあらゆるポストを経験した。

そして平成28年12月、女性として史上初めて、医官以外で将官に昇った海上自衛官となり、統合幕僚監部首席後方補給官として活躍する。

時代が変わり、もはや女性幹部や女性将官という存在は珍しく無い日がすぐそこまで来ている。

しかし、そんな次代を切り拓いたのは間違いなく近藤のような先駆者であり、ぜひその活躍には、他の幹部以上に注目をして欲しい女性将官だ。

 

なお上司写真2枚めだが、正直に言って近藤とはあまり関係ない。

左端に写るのが、第6後方支援連隊長の澤村満称子(第38期相当)だ。

陸上自衛隊史上初の女性連隊長だが、連隊長になっても部下とともに楽しそうにピースサインで写真に収まるというのは、なかなかに斬新な一枚である。

こんなところでも、また女性幹部と部下との間には、新しい人間関係が構築されていくのかも知れない。

それにしても、澤村一佐すごくウエスト細くてスタイル良いですね・・・

 

では最後に、その近藤と同期である33期組の人事の動向について見てみたい。

第33期組は2014年に最初の海将補が選抜され、2020年夏の将官人事で最初の海将が選抜される予定の年次にあたる。

そして2018年9月現在、海将補の任にある幹部は以下の通りだ。

 

齋藤聡(第33期)・海上幕僚監部防衛部長(2014年8月)

真殿知彦(第33期)・統合幕僚監部防衛計画部副部長(2014年8月)

俵干城(第33期)・海洋業務・対潜支援群司令(2015年3月)

市田章(第33期)・統合幕僚監部指揮通信システム部長(2015年8月)

関口雄輝(第33期)・舞鶴地方総監部幕僚長(2015年8月)

小峯雅登(第33期相当)・呉地方総監部幕僚長(2016年3月)

近藤奈津枝(第33期相当)・統合幕僚監部首席後方補給官(2016年12月)

今吉真一(第33期)・防衛装備庁長官官房艦船設計官(2017年3月)

※肩書は全て2018年10月現在。( )は海将補昇任時期。

※2018年8月の昇任海将補については、期別の確認ができていないために追記する可能性あり。

 

以上のようになっており、まずは齋藤と真殿が一歩リードしている形だが、海上自衛隊では1選抜での将官昇任がそのまま、海将1番乗りとなる可能性が高いわけではない。

齋藤と真殿に加え、俵、市田、関口辺りまでがおそらく1選抜の海将候補として、2020年夏の将官人事の際に名前が上がってくることになるだろう。

 

近藤については、後方補給系としてこれ以上はないほどに、キャリアを極めた最高幹部だ。

海将補に昇った時期を考えると、海将に昇るかどうかは微妙なところだが、あるいは補給本部長候補として名前が取り沙汰される事があれば、そのチャンスも出てくるのではないだろうか。

いずれにせよ、その活躍はまだまだ、2020年代前半にかけて続くことになる。

これからも近藤の活躍には注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:防衛省公式Webサイト

◆近藤奈津枝(海上自衛隊) 主要経歴

平成
元年3月 海上自衛隊入隊(第33期相当)
2年3月 横須賀補給処誘導武器支援部支援第1科
3年3月 幹部専門課程(経理補給)
3年8月 下総航空基地隊経理隊
4年8月 海上自衛隊幹部候補生学校
6年8月 練習艦やまぐも補給長
7年8月 横須賀補給処誘導武器支援部支援第1科管制係長
9年9月 幹部中級課程(経理補給)
10年12月 艦船補給処幹線部艦船補給課管制班長
12年1月 3等海佐
12年3月 航空補給処管理部会計課会計班長
13年3月 幹部専攻科課程・富士ゼロックス企業研修
14年3月 海上幕僚監部装備部装備課補給管理班
16年3月 第31航空群司令部監理幕僚
17年7月 2等海佐
17年8月 第1整備補給隊第1補給隊長
17年8月 第1補給隊長(鹿屋)
18年8月 海上幕僚監部経理課主計班(市ヶ谷)
20年8月 舞鶴地方総監部経理課長(舞鶴)
22年1月 1等海佐
22年3月 幹部高級課程
23年3月 艦船補給処管理部長
24年8月 海上幕僚監部経理課主計班長
25年4月 海上幕僚監部経理調整官兼主計班長兼経理班長
25年12月 佐世保地方総監部経理部長
27年9月 海上幕僚監部厚生課長
28年12月 統合幕僚監部首席後方補給官 海将補

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4件のコメント

近藤海将補ですが、令和4年12月23日付で海上自衛隊幹部候補生学校長に着任されましたね。
個人的に調べてみましたが、近藤海将補は第50代の幹部候補生学校長で、一般大学出身者としては空白期間を入れて4人目、女性としては初となる補職のようです。
一般大学出身の女性幹部としては、若き幹部候補生たちを導くこれ以上ないほどにやりがいのある役職ではないのかなと私は思います。
今後、その手腕を発揮してどんなご活躍を見せて頂けるのか… 
近藤海将補からは、まだまだ目が離せませんね!

注目の人事でしたね!
この補職も女性初でしたか・・・。
もしかして、この補職が最後の任務かも知れませんが、近藤将補にとっても、思い出深いお仕事になりそうですね~
^^

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