青木伸一(水陸機動団長・陸将補)|第32期・陸上自衛隊

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その青木が陸上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。

1等陸佐に昇ったのが平成19年1月であったので、32期組1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。

その後は先述のように、非常に特徴的なキャリアを歩むことになる。

(画像提供:陸上自衛隊公式Webサイト 部内広報誌ARMY81号)

(画像提供:陸上自衛隊西部方面隊公式Webサイト 広報誌鎮西589号)

1等陸佐昇任後、青木の最初の仕事はCRF(中央即応集団)付。

陸上総隊の前身であり、我が国の最精鋭部隊を取りまとめる精鋭集団だ。

その後職では、21年12月に第3代となる特殊作戦群長に着任し、さらにCRFの幕僚副長に転じるなど、特殊作戦系の現場と司令部を往復する。

さらに27年3月には、特殊作戦の要となる情報を扱う情報本部で計画部長を務め、27年12月に陸将補昇任。

将官昇任と同時に西部方面隊の幕僚副長(防衛)に着任するが、これは時期的・キャリア的に明らかに、西部方面普通科連隊を事実上任されていたのではないだろうか。

そして29年3月、その西部方面普通科連隊を発展的に廃止し、新たに発足させた水陸機動団で初代の団長に着任し、我が国の離島防衛を担い日々任務に励んでいる。

びっくりするほどに、特殊作戦系の部隊で要職を歴任し続けたキャリアとなっている。

 

では最後に、その青木と同期である32期組の人事の動向についてみておきたい。

32期組は、2019年夏の将官人事で最初の陸将が選抜される年次であり、2019年1月現在では、1選抜の幹部でも陸将補ということになる。

そしてその陸将補にある幹部たちは、以下の通りだ。

 

梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長(2013年8月)

大塚裕治(第32期)・陸上幕僚監部装備計画部長(2013年8月)

森下泰臣(第32期)・陸上幕僚監部防衛部長(2013年8月)

堀井泰蔵(第32期相当)・第5旅団長(2013年8月)

中村裕亮(第32期)・教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長(2014年3月)

田尻祐介(第32期)・第12旅団長(2014年8月)

鬼頭健司(第32期相当)・陸上自衛隊幹部候補生学校長(2014年12月)

木口雄司(第32期)・高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(2015年8月)

腰塚浩貴(第32期)・施設学校長(2015年8月)

青木伸一(第32期)・水陸機動団長兼ねて相浦駐屯地司令(2015年12月)

池田頼昭(第32期)・第10師団副師団長兼守山駐屯地司令(2016年3月)

檀上正樹(第32期)・警務隊長(2017年3月)

小谷琢磨(第32期)・第4施設団長(2017年8月)

斎藤兼一(第32期相当)・第7師団副師団長兼ねて東千歳駐屯地司令(2017年12月)

叶謙二(第32期)・開発実験団長(2018年3月)

佐々木俊哉(第32期)・自衛隊情報保全隊司令(2018年3月)

岩名誠一(第32期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年8月)

※肩書はいずれも2019年1月現在。( )内は陸将補昇任時期。

※2018年8月以降の将官人事で昇任した将補の期別は未確認のため、追記する可能性あり。

 

以上のようになっており、まずは梶原、大塚、森下、堀井の4名が1選抜で昇任し、同期の最高幹部人事の中心になっている状況だ。

2019年夏の陸将人事も、おそらくこの4名を中心に選抜が進められるのではないだろうか。

 

青木については、先述のように特殊作戦系のポストを歴任した将官という以外に、また別の特徴がある。

将官に昇った幹部としては珍しく、中央(陸上幕僚監部、統合幕僚監部)での1佐以降の補職がほとんどないということだ。

わずかに1つ、平成25年4月から陸幕で総務課の庶務室長を務めているが、それだけである。

このように特徴的なキャリアを歩んできた幹部であれば、最後まで国防の最前線に立ち続けるか、もしくは関連する中央の要職に就く以外には、今後の補職は予想できないのではないだろうか。

言い換えれば、我が国の離島防衛をプランニングする上でのキーマンになる将官であり、その動向が日本の平和に直結すると言っても過言ではないほどに、期待がかかる最高幹部である。

今もっとも、注目するべき自衛官の一人であると言ってよいだろう。

 

そのような、重い責任を担う青木陸将補のご紹介であった。

その動向には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:陸上自衛隊公式フェイスブック

◆青木伸一(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
63年3月 陸上自衛隊入隊(第32期)

平成
11年1月 3等陸佐
14年7月 2等陸佐
19年1月 1等陸佐
19年8月 幹部学校付
20年8月 中央即応集団付
21年12月 特殊作戦群長
24年4月 中央即応集団幕僚副長
25年4月 陸上幕僚監部総務課庶務室長
27年3月 情報本部計画部長
27年12月 西部方面総監部幕僚副長 陸将補
29年3月 水陸機動団長兼ねて相浦駐屯地司令

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