【退役】権藤三千蔵(ごんどう・みちぞう)|第29期・関東補給処長

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その権藤が陸上自衛隊に入隊したのは昭和60年3月。

1等陸佐に昇ったのは平成15年6月であり、人事規定上、29期組1選抜の1等陸佐が昇任する16年1月よりも、半年も早い。

防衛駐在官として海外、権藤の場合はスウェーデンに赴任するために、防衛省の規定よりも早く昇任をして、現地に赴任した影響に依るものだ。

そして1佐として10年の経験を積み上げ、25年3月に陸将補に。

30年8月に陸将に昇任している。


(画像提供:陸上自衛隊東北方面隊公式Webサイト ※PDF注意)

なお上記写真について、予めご説明しておきたい。

中央に写っているのはもちろん、管理人にとって永遠のアイドルである山之上哲郎(第27期)・元東北方面総監だ。

しかしもちろん、権藤陸将のご紹介ページに無意味に山之上元陸将を貼るような無節操なことはしない。

いや、昔はしていたので余り胸を張って言えるものではないが、権藤はちゃんと、左端に写っているので、誤解のないようにして頂きたい。。

 

話を権藤に戻したい。

その権藤が原隊(初任地)を過ごしたのは、第2特科群。野戦特科、とりわけFH-70などを専門にする砲兵部隊だ。

中隊長ポストは、同じ野戦特科でも直接、目標に照準を寄せる第1地隊艦ミサイル連隊であったので、少し変わったキャリアを言っても良いかも知れない。

連隊長ポストは、再び大火力の野砲を指揮する第10特科連隊長だったので、現場指揮官としてのトップは野砲部隊で務めた。

しかし、陸将補として最初に着任したのは、高射特科の幹部が着任する事が多い第1高射特科団長であったのが非常に印象的だ。

またそこから転じての、現職は関東補給処長である。

いろいろな現場に振れるキャリアにやや不思議な思いがしなくもないが、これはおそらく権藤が、技術系のキャリアを歩み、装備や開発系で強みを持つ最高幹部であったからではないだろうか。

 

権藤はそのキャリアの初期に、熊本大学の大学院で工学博士を取得している。

以降、中央(陸幕)では装備系の要職を務めた他、富士学校でも装備開発実験隊で重要な任務を担っている。

そのため、広く様々な現場を経験した上で後方支援系に回り、その知見で権藤にしかできない、陸上自衛隊の過渡期における後方支援のあり方を再構築する役割が与えられたのではないだろうか。

後方支援系の幹部曹士は決して目立つことはないが、ぜひその役割には注目をして欲しいと願っている。

そんな幹部の一人である。

 

では最後に、その権藤と同期である、29期組の人事の動向について見てみたい。

29期組の将官は、一部で既に勇退も始まっている年次であり、今まさに、我が国の平和と安全に最も重い責任を担っている世代だ。

そして2019年5月現在で、29期組で陸将に在るのは以下の最高幹部となっている。

 

上尾秀樹(第29期)・東北方面総監(2016年7月)

高田克樹(第29期)・東部方面総監(2016年7月)

本松敬史(第29期)・西部方面総監(2016年7月)

納富 中(第29期)・防衛大学校幹事(2016年7月)

柴田昭市(第29期)・防衛装備庁長官官房装備官(2017年3月)

山内大輔(第29期)・陸上自衛隊補給統制本部長兼ねて十条駐屯地司令(2017年3月)

清田安志(第29期)・統合幕僚学校長(2017年8月)

岩村公史(第29期)・第9師団長(2018年8月)

権藤三千蔵(第29期)・陸上自衛隊関東補給処長兼ねて霞ヶ浦駐屯地司令(2018年8月)

※肩書はいずれも2019年5月現在。( )は陸将昇任時期。

 

以上のような状況となっており、中でも29期の陸幕長候補は、本松、上尾、高田の3名に絞り込まれたと言って良いだろう。

あるいは山崎幸二(第27期)・第36代陸上幕僚長の後任が28期組である湯浅悟郎(第28期)から選ばれたために、29期組からは陸幕長が誕生しない可能性もあるが、こればかりは最後は運も左右する。

外野からは、楽しく見守りながら、重責を担う全ての幹部に最高のエールを送り続けたい。

 

権藤については、関東補給処のポストを最後に退役となる可能性もあるが、直近の人事の動向から考えると、おそらく補給統制本部長に昇り、そこで制服を置くことになるのではないだろうか。

不思議なキャリアではあるが、これもまた権藤の凄さではないだろうか。

いずれにせよ、権藤は我が国にとってもっとも大事な兵站の任務を担い、日々世界の平和と日本の安全のために力を尽くしている。

今後ともその動向から目を離さず、そして変わらず応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。


(画像提供:陸上自衛隊関東補給処公式Webサイト

◆権藤三千蔵(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
60年3月 陸上自衛隊入隊(第29期)
年 月 第2特科群(仙台)

平成
年 月 健軍駐屯地業務隊付・熊本大学大学院工学博士課程(健軍)
年 月 装備開発実験隊(富士)
年 月 幹部学校学生(目黒)
年 月 第1地隊艦ミサイル連隊中隊長(北千歳)
年 月 檜町業務隊付(檜町)
年 月 陸上幕僚監部防衛部・運用(檜町・市ヶ谷)
年 月 陸上幕僚監部装備部・開発(市ヶ谷)
年 月 陸上幕僚監部調査部付(市ヶ谷)
15年6月 スェーデン防衛駐在官 1等陸佐
18年7月 陸上幕僚監部開発課総括班長(市ヶ谷)
20年4月 第10特科連隊長(豊川)
21年12月 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官(朝霞)
22年7月 陸上幕僚監部装備部開発課長(市ヶ谷)
25年3月 第1高射特科団長(東千歳) 陸将補
27年8月 防衛監察本部監察官(市ヶ谷)
28年7月 東北方面総監部幕僚長(仙台)
30年8月 陸上自衛隊関東補給処長兼ねて霞ヶ浦駐屯地司令(霞ヶ浦) 陸将

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2件のコメント

群特科は重砲部隊、FHはありません。 
権藤氏の初任地は2特群109大隊、自衛隊最後の155G(加濃砲)部隊

島様、コメントありがとうございました。
失礼しました・・・
ご指摘、感謝申し上げます!

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