その山根が陸上自衛隊に入隊したのは平成4年3月。
1等陸佐に昇ったのが23年1月なので、第36期1選抜(1番乗り)となるスピード出世だ。
先述の通り、施設科の幹部であり研究者としての一面も持つ、技術系の最高幹部である。
(画像提供:陸上自衛隊岩見沢駐屯地公式Webサイト 広報岩見沢27年第3・4号)
その初任地は、京都の大久保駐屯地に所在する第7施設群。
急行電車も停車する、近鉄京都線大久保駅の駅改札から3分という、近畿に所在する陸自の駐屯地では例外的に非常に交通の便に恵まれた駐屯地だ。
朝夕には、基地内をフェンスに沿ってランニングし体を鍛える自衛官の姿を見ることができ、住民の何気ない日常に自衛隊と自衛官が溶け込む、非常に素晴らしい駐屯地である。
なお、現陸上幕僚長である山崎幸二(第27期)は、陸将補に昇任して最初の補職として、その第7施設群の上級組織である第4施設団長として、同じ大久保駐屯地で指揮を執っている。
その他現役では、以下の幹部たちが第4施設団長として、この大久保で指揮を執るなど、施設科のエリート幹部の指定席になってきたポストだ。
岩谷要(第28期) 教育訓練研究本部長・陸将
小野塚貴之(第30期) 陸上幕僚副長・陸将
髙田祐一(第30期) 富士学校長・陸将
小林弘樹(第34期) 統合幕僚監部運用部副部長・陸将補
小谷琢磨(第32期) 第4施設団長・陸将補(現職)
※肩書は全て、2018年9月現在。
このような、最高の環境で初級幹部としてのスタートを切った山根はその後、南恵庭の第1施設群第301坑道で中隊長を。
連隊長相当職は岩見沢の第12施設群で施設群長として活躍するなど、各地で指揮官の要職を歴任。
中央では、防衛部の情報通信研究課や装備部の開発課総括班に加え、教育訓練部の訓練計画課器材・演習場班長、防衛部防衛課の開発室長を歴任するなど、非常に充実したキャリアを積み上げる。
研究者としても、研究本部の研究員を務めるなど非常に幅広い分野で成果を上げ続け、平成30年8月に防衛装備庁のプロジェクト管理部装備技術官に着任した。
エリート幹部らしい、非常に充実した勤務歴が、その補職から伺うことができるキャリアとなっている。
では最後に、その山根と同期である36期組の人事の動向について見てみたい。
36期組は、2017年8月の将官人事で最初の陸将補が選抜された年次にあたる。
そして、2018年8月現在でその任にあるのは、以下の幹部たちだ。
松永浩二(第36期)・沖縄地方協力本部長(2017年8月)
德永勝彦(第36期)・教育訓練研究本部研究部長(2017年8月)
堺一夫(第36期)・富士学校普通科部長兼富士学校諸職種協同副センター長(2017年8月)
藤岡史生(第36期)・北部方面総監部幕僚副長(2017年8月)
若松純也(第36期)・東部方面総監部幕僚副長(2017年12月)
南川信隆(第36期)・教育訓練研究本部訓練評価部長(2018年3月)
※肩書は全て2018年9月現在。( )は陸将補昇任時期。
※2018年夏の将官人事で昇任した将補について、年次未確認のために追記する可能性あり。
以上のようになっており、まずは松永、徳永、堺、藤岡の4名が、36期組の最高幹部人事で一歩リードしている状況だ。
おそらくこの4名を中心に、2023年夏の陸将人事も進んでいくことになるだろう。
山根については、防衛装備庁でプロジェクト管理部の装備技術官を任されるほどの幹部だ。
その見識と技術方面への明るさは自衛隊随一であり、今後もおそらく、技術系の要職を歴任してやがて陸将補にも昇ることになるのではないだろうか。
技術系の幹部は目立つことはないが、国民の多くが注目し、そしてその活躍に心からの敬意を寄せる尊敬されるポストである。
その動向には今後も注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊岩見沢駐屯地公式Webサイト)
◆山根茂樹(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
4年3月 陸上自衛隊入隊(第36期)
5年2月 第7施設群(大久保)
8年3月 防衛大学校理工学研究科学生(横須賀)
10年3月 第7施設群第349施設中隊(出雲)
11年3月 第7施設群第304施設隊(出雲)
12年3月 幹部学校技術高級課程(目黒)
13年3月 第1施設群第301坑道中隊長(南恵庭)
14年2月 第1次東チモール派遣施設群中隊長
14年10月 第1施設群第301坑道中隊長(南恵庭)
15年3月 自衛隊兵庫地方連絡部(兵庫)
17年8月 陸上幕僚監部防衛部情報通信研究課(市ヶ谷)
20年3月 陸上幕僚監部装備部開発課総括班(市ヶ谷)
23年1月 1等陸佐
23年8月 幹部学校幹部高級課程(目黒)
24年3月 統合幕僚学校統合高級課程(目黒)
24年8月 陸上自衛隊研究本部研究員(朝霞)
25年4月 陸上幕僚監部教育訓練部訓練計画課器材・演習場班長(市ヶ谷)
27年3月 第12施設群長兼ねて岩見沢駐屯地司令(岩見沢)
28年11月 陸上幕僚監部防衛部防衛課開発室長(市ヶ谷)
30年8月 防衛装備庁プロジェクト管理部装備技術官(市ヶ谷)
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