その古庄が陸上自衛隊に入隊したのは平成元年3月。
先述のように、佐官に昇任後では都市防衛や国際貢献の現場で要職を歴任してきたことが印象的なキャリアとなっている。
(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式フェイスブック)
(画像提供:陸上自衛隊第1師団公式Webサイト)
なお上記写真の1枚め、柴田昭市(第29期)が2018年8月に第1師団長を離任し、防衛装備庁長官官房装備官に栄転となった際の離任式の模様だ。
新制服がかっこよく、いい機会なのでここでご紹介させて頂いた。
古庄のキャリアに戻る。
中隊長職は、雪深い北海道北部の道東寄り、遠軽に所在する第25普通科連隊で指揮を執っており、続いて旭川の第2師団司令部で第3部長を務めるなど、大火力を誇る北方での経験も多い。
かと思えば、連隊長職は大阪の信太山に所在する、第37普通科連隊だ。
その間、イスラエルとシリアの停戦を監視するPKO活動の一環として、中東ゴラン高原に第11次ゴラン高原派遣輸送隊長として赴任。
また、国際貢献活動などで海外に赴任する隊員を教育する、駒門駐屯地に所在する国際活動教育隊長を務め、さらに派遣海賊対処行動支援隊司令としてアフリカの東・ジブチ共和国にも赴任するなど、国際経験も極めて豊富だ。
そしてそのジブチ共和国での任務を終えて、平成28年12月に第1師団司令部幕僚長に着任した。
そのキャリアから見えるものは、大火力の指揮運用に関する知見も持ち合わせる一方、厳しい国際情勢を肌感覚で理解し、その上で我が国の政治経済の中枢をどのように守り抜くのか。
まさに今の時代にふさわしい、都市防衛の指揮官に必要な知見のすべてを兼ね備えた、陸自幹部の姿だ。
これほどのキャリアを誇る幹部が第1師団の幕僚長を務めているとなると、非常に頼もしい思いがするのではないだろうか。
まさに頭号師団司令部幕僚長にふさわしい、充実した経歴となっている。
最後に、その古庄の同期である33期組について、簡単に触れておきたい。
33期組は、2020年夏の将官人事で最初の陸将が選抜される年次にあたる。
そのため、2018年8月現在では1選抜(1番乗り)の出世頭でも陸将補ということになるが、その陸将補に在るのは以下の幹部たちだ。
冨樫勇一(第33期)・陸上幕僚監部人事教育部長(2014年8月)
山根寿一(第33期)・第13旅団長(2014年8月)
牛嶋築(第33期)・東北方面総監部幕僚長兼ねて仙台駐屯地司令(2014年8月)
末吉洋明(第33期)・陸上幕僚監部運用支援・訓練部長(2014年8月)
廣惠次郎(第33期)・陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部長(2015年3月)
児玉恭幸(第33期)・陸上幕僚監部監察官(2015年8月)
梅田将(第33期相当)・大阪地方協力本部長(2015年12月)
酒井秀典(第33期)・第1ヘリコプター団長兼ねて木更津駐屯地(2016年3月)
宮本久徳(第33期)・第1高射特科団長(2016年12月)
堀江祐一(第33期相当)・陸上自衛隊高等工科学校長兼ねて武山駐屯地司令(2017年3月)
楠見晋一(第33期)・中央情報隊長兼ねて陸上総隊司令部情報部長(2017年8月)
更谷光二(第33期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年3月)
※肩書はいずれも2018年8月現在。( )内は陸将補昇任時期。
※2018年8月の将官人事で昇任した幹部の確認が未了のため、加筆する可能性あり。
以上のような状況になっており、まずは富樫、山根、牛島、末吉の4名が中心になって、33期組の人事は進んでいくことになるだろう。
古庄については、これだけのキャリアを誇る幹部である。
あるいは今後も、都市防衛だけでなく国際貢献の分野で活躍を見せてくれると思うが、後職では陸上総隊の関連する要職に着任することになるのではないだろうか。
33期を代表する、幹部自衛官の一人だ。
今後ともその活躍には注目し、そして応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊中央即応集団公式Webサイト)
◆古庄信二(陸上自衛隊) 主要経歴
平成
元年3月 陸上自衛隊入隊(第33期)
11年8月 第25普通科連隊中隊長(遠軽)
13年1月 第11次ゴラン高原派遣輸送隊長(ゴラン高原)
21年3月 第2師団司令部第3部長(旭川)
23年8月 第37普通科連隊 連隊長(信太山)
25年8月 国際活動教育隊長(駒門)
27年8月 派遣海賊対処行動支援隊司令(ジブチ共和国)
28年12月 第1師団司令部幕僚長
柴田師団長の後ろを歩いているのは古庄1佐ではありません。帽子が尉官なので副官です。
YK様、ご指摘ありがとうございました、失礼しました!
先程、文章を修正しておきました。
ご指摘に感謝します!
即位の礼といえば、京都御所にある高御座が9月にも皇居に運ばれるようですね。
前回は桂駐屯地からヘリコプターに載せて運んだのですが、今回は陸路で運ぶらしく、自衛隊の出番はないかもしれません。
輸送科職種というのは人や物を必要な時に必要な場所へ運ぶという兵站の要であります。
輸送科をもっと紹介していただきたく思います。
関西人様コメントありがとうございます。
あら、本当ですかガッカリ。。
輸送科についてはその重要性、全く同感です。
ご紹介できた幹部は余り多くないですが、輸送科の幹部をご紹介する時は私も、同じ思いです。
今後も、積極的にご紹介できるよう頑張ります!