古屋浩司(宮城地方協力本部長・1等陸佐)|第32期・陸上自衛隊

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その古屋が陸上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。

公開されている補職は全てではないが、それらキャリアを通してみると、古屋の強さや活躍の足跡がよく見える、とても特徴的なものとなっている。

(画像提供:自衛隊宮城地方協力本部公式フェイスブック

(画像提供:自衛隊宮城地方協力本部公式Webサイト

多くの幹部自衛官が、思いでのポストとして語ってくれることが多い中隊長ポストは、長野県に所在する第13普通科連隊の第2中隊長で務めた。

ご存知のように、第13普連は空中機動と山中機動に強みを持ち、特に「山岳レンジャー」の集合訓練が行われる部隊として、その精強さは広く知られるところだ。

連隊長ポストは、三重県津市に所在する第33普通科連隊で上番し、その後上級組織である第10師団司令部で幕僚長を務めている。

その間、平成19年6月からは、何かと話題が付きない韓国に赴任し、防衛駐在官として活躍している。

防衛駐在官はご存知のように、文官では難しい軍人との意思疎通を軍人同士で行う、いわば軍人外交の役割を担うものだ。

他にも、朝鮮半島という地理的要因もあり、当然、その任務には対北朝鮮向けの情報収集の任務も含まれていただろう。

また韓国の国情や意思決定の実際、軍内部の統制や指揮命令系統の充実ぶりなども、その任務には含まれているはずだ。

面白半分で友軍機に向かい、火器管制レーダーを照射するような艦長や幹部がいないか。そのような規律の乱れは見られないか。

現地に赴いて肌感覚で身につけるべき、様々な情報収集にも当たっていたのではないだろうか。

そして平成30年3月、第10師団司令部幕僚長の後職として宮城地方協力本部長に着任し、現職として非常に重い責任を担い、活躍を続けている。

 

これらキャリアから見える古屋の強さは、都市防衛を始めとした、機動力を活かした部隊による迅速な事態への対処であろうか。

あるいは対北朝鮮向けの情勢分析も大きな主任務である韓国防衛駐在官のポストも、これらテロに最も近い国家を間近で観察し、都市防衛への備えを蓄積する目的もあったのかも知れない。

そう思うと、この宮城地本長というポストもまた、有事の備えとして非常に頼もしい、古屋の姿が見えてくる。

県知事の村井との協力体制とも併せて、諸課題の解決など大きな成果を残すポストになるのではないだろうか。

 

では最後に、その古屋と同期である、32期組の人事の動向について見てみたい。

32期組は、2019年夏の将官人事で最初の陸将が選抜される年次であり、2018年12月現在では、1選抜の幹部でも陸将補ということになる。

そしてその陸将補にある幹部たちは、以下の通りだ。

 

梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長(2013年8月)

大塚裕治(第32期)・陸上幕僚監部装備計画部長(2013年8月)

森下泰臣(第32期)・陸上幕僚監部防衛部長(2013年8月)

堀井泰蔵(第32期相当)・第5旅団長(2013年8月)

中村裕亮(第32期)・教育訓練研究本部副本部長兼ねて総合企画部長(2014年3月)

田尻祐介(第32期)・第12旅団長(2014年8月)

鬼頭健司(第32期相当)・陸上自衛隊幹部候補生学校長(2014年12月)

木口雄司(第32期)・高射学校長兼ねて下志津駐屯地司令(2015年8月)

腰塚浩貴(第32期)・施設学校長(2015年8月)

青木伸一(第32期)・水陸機動団長兼ねて相浦駐屯地司令(2015年12月)

池田頼昭(第32期)・第10師団副師団長兼守山駐屯地司令(2016年3月)

檀上正樹(第32期)・警務隊長(2017年3月)

小谷琢磨(第32期)・第4施設団長(2017年8月)

斎藤兼一(第32期相当)・第7師団副師団長兼ねて東千歳駐屯地司令(2017年12月)

叶謙二(第32期)・開発実験団長(2018年3月)

佐々木俊哉(第32期)・自衛隊情報保全隊司令(2018年3月)

岩名誠一(第32期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年8月)

※肩書はいずれも2018年12月現在。( )内は陸将補昇任時期。

※2018年8月以降の将官人事で昇任した将補の期別は未確認のため、追記する可能性あり。

 

以上のようになっており、まずは梶原、大塚、森下、堀井の4名が1選抜で昇任し、同期の最高幹部人事の中心になっている状況だ。

2019年の陸将人事も、おそらくこの4名を中心に選抜が進められるのではないだろうか。

 

古屋については、これだけ充実したキャリアを誇り、また安全保障環境上でも重要な知見を積み上げてきた高級幹部である。

後職では、中部方面隊隷下師団の副師団長や、あるいは方面隊の幕僚副長といった要職に着任し、陸将補に昇ることになるのではないだろうか。

いずれにせよ、2020年代前半にかけて我が国の平和と安全にもっとも重い責任を担っていくことになることは間違いのないキーマンのひとりだ。

その活躍には今後も注目し、そして応援していきたい。

 

※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。

(画像提供:自衛隊宮城地方協力本部公式フェイスブック

◆古屋浩司(陸上自衛隊) 主要経歴

昭和
63年3月 陸上自衛隊入隊(第32期)

平成
11年8月 第13普通科連隊第2中隊長(松本)
14年8月 陸上幕僚監部勤務(市ヶ谷)
19年6月 在韓国防衛駐在官(外務省)
24年7月 第33普通科連隊長兼ねて久居駐屯地司令(久居)
26年12月 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官
28年3月 第10師団司令部幕僚長(守山)
30年3月 自衛隊宮城地方協力本部長(仙台)

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2件のコメント

はじめまして。いつも楽しく拝見しております。

文中、村井知事(28期)が4学年のときに古屋1佐(32期)が1学年とありますが
4期離れていますとちょうど卒業と入学で入れ違いになるのではないでしょうか?
28期で入学して1留すれば32期入校で4年と1年です。
または32期の方が実は31期として入校していれば、28期が4年のとき1年生ですが、その場合は1留しなければ年次が32期とはなりません(自分が入校したときも、ほとんどの4年生が3期上でした。中隊の4年生にはまれに4期上の人もいましたが笑)

なんとも細かい部分で恐縮ですが、そういえば…とふと気になってしまい、生意気にもコメントさせていただきました。申し訳ありません。
自分は中退こそしましたが自衛隊の方々を心より応援させていただいております。そして、管理人様の自衛隊愛にはいつも尊敬の念を禁じ得ません。
今後も更新を楽しみにしております。

最後になりましたが、大変寒い毎日が続きますのでお体にはどうかお気をつけください。

中退者様、とても温かいコメントありがとうございました。
また間違いのご指摘も頂きましてありがとうございます。
大変失礼しました。先程、該当部分を修正いたしました。

応援のコメントを頂けて、とても励みになっております。
今後共、どうぞ宜しくお願いします。
ありがとうございました。

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