その池田が陸上自衛隊に入隊したのは昭和63年3月。
原隊(初任地)は尚武の地・九州は宮崎県に所在する、第43普通科連隊だ。
1等陸佐に昇ったのは平成19年1月だったので、第32期組1選抜のスピード出世であった。
(画像提供:陸上自衛隊第10師団公式Webサイト 師団だより第73号)
そして1等陸佐に昇任すると、ただちに山口県の第17普通科連隊長に着任。
その後は中央での要職を歴任することが多く、統合幕僚監部では防衛計画部計画課の業務計画班長に加え、運用部運用第1課の運用調整官といったポストを経験。
また、機動力と大火力を活かした北部方面隊隷下・第2師団の幕僚長や北部方面総監部の防衛部長も務めるなど、大兵力を運用するポストでの経験にも抜かりはない。
そして平成28年3月、陸将補に昇任すると今度は一転、文字通り政経の中枢である東部方面総監部の幕僚副長に抜擢され都市防衛を任され、その後職として第10師団の副師団長に着任した形だ。
高機動力を活かした兵力の運用に強みを発揮する一方で、北部方面隊での経験も積むなど、非常に守備範囲の広い経験値を特徴とする、エリートらしい充実したキャリアを積み上げてきた幹部である。
では最後に、その池田と同期である、32期組の人事の動向について見てみたい。
32期組は、2019年夏の将官人事、すなわち間もなく、最初の陸将が選抜される予定の年次だ。
そのため2019年6月現在では、1選抜の幹部でも陸将補ということになる。
そしてその陸将補にある幹部たちは、以下の通りだ。
梶原直樹(第32期)・統合幕僚監部防衛計画部長(2013年8月)
大塚裕治(第32期)・陸上幕僚監部装備計画部長(2013年8月)
森下泰臣(第32期)・陸上幕僚監部防衛部長(2013年8月)
堀井泰蔵(第32期相当)・第5旅団長(2013年8月)
中村裕亮(第32期)・第15旅団長(2014年3月)
田尻祐介(第32期)・第12旅団長(2014年8月)
鬼頭健司(第32期相当)・東部方面総監部幕僚長兼ねて朝霞駐屯地司令(2014年12月)
木口雄司(第32期)・中部方面総監部幕僚長兼ねて伊丹駐屯地司令(2015年8月)
腰塚浩貴(第32期)・施設学校長(2015年8月)
青木伸一(第32期)・水陸機動団長兼ねて相浦駐屯地司令(2015年12月)
池田頼昭(第32期)・第10師団副師団長兼守山駐屯地司令(2016年3月)
檀上正樹(第32期)・陸上自衛隊小平学校長兼ねて小平駐屯地司令(2017年3月)
小谷琢磨(第32期)・第4施設団長(2017年8月)
斎藤兼一(第32期相当)・第7師団副師団長兼ねて東千歳駐屯地司令(2017年12月)
叶謙二(第32期)・開発実験団長(2018年3月)
佐々木俊哉(第32期)・自衛隊情報保全隊司令(2018年3月)
岩名誠一(第32期)・東北方面総監部幕僚副長(2018年8月)
岡田俊和(第32期)・北海道補給処長(2019年4月)
※肩書はいずれも2019年6月現在。( )内は陸将補昇任時期。
以上のようになっており、まずは梶原、大塚、森下、堀井の4名が1選抜で陸将補に昇任し、同期の最高幹部人事の中心になっている状況だ。
2019年夏の陸将人事も、おそらくこの4名を中心に選抜が進められるのではないだろうか。
池田については、幅広い経験にプラスして、やはり軽武装・高機動力を活かした現在の陸自の戦闘指揮に、強みを発揮する将官だ。
そのため師団の機動師団化、連隊の即応機動連隊化の動きの中で、どこに行ってもその知見が必要とされる幹部であり、ますますその活躍の場を広げていくことだろう。
いずれにせよ、32期組は今まさに最初の陸将が選抜される直近ということもあり、我が国の平和と安全を中心になって担っていく世代だ。
その活躍には特に注目し、そして声を大にして、応援していきたい。
※文中、自衛官および関係者各位の敬称略。
(画像提供:陸上自衛隊守山駐屯地公式Webサイト)
◆池田頼昭(陸上自衛隊) 主要経歴
昭和
63年3月 陸上自衛隊入隊(第32期)
63年9月 第43普通科連隊(都城)
平成
8年8月 幹部学校指揮幕僚課程
10年8月 第13普通科連隊中隊長(松本)
11年1月 3等陸佐
12年1月 第9次ゴラン高原派遣輸送隊長
14年7月 2等陸佐
19年1月 1等陸佐
19年8月 第17普通科連隊長兼ねて山口駐屯地司令(山口)
21年3月 統合幕僚監部防衛計画部計画課業務計画班長(市ヶ谷)
22年12月 統合幕僚監部運用部運用第1課運用調整官(市ヶ谷)
24年8月 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官(朝霞)
25年8月 第2師団幕僚長(旭川)
26年8月 北部方面総監部防衛部長(札幌)
28年3月 東部方面総監部幕僚副長(朝霞) 陸将補
29年8月 第10師団副師団長兼ねて守山駐屯地司令
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